「文春」のタブーを暴露した作家の林真理子(画像は『美女入門スペシャル 桃栗三年美女三十年』マガジンハウスより)
「センテンススプリング砲また炸裂」「文春無双」──。このところのスクープラッシュで、ネット上には「週刊文春」(文藝春秋)をこんな形容で称える声があふれている。実際、この雑誌のことを、「タブーのない最強の週刊誌」「向かうところ敵なしのイケイケ軍団」というイメージで見ている読者は多いはずだ。
だが、そんな「週刊文春」にタブーが存在していることを指摘した人物がいる。しかも、当の「文春」誌面で。
それは、連載コラム「夜ふけのなわとび」を執筆中の作家・林真理子氏だ。林氏は3月31日発売号(4月7日号)の連載で「週刊文春」の快進撃を「すごいぞ、センスブ」と賞賛し、こんなエピソードを開陳した。
〈この頃有名人に会うたび、よく聞かれる。
「どうしたら、センテンス・スプリングに書かれないようになりますかね?」
「ひとつだけありますよ」
私は答える。
「センテンス・スプリングの執筆者になることですね」〉
さらに林氏は、芸能人でもコラムを書いたりすれば大丈夫だが、〈作家はもっと大丈夫だ〉と解説したうえ、〈だから乙武君も本当に“作家”だったら大丈夫なのにね〉と言い放ったのだった。
たしかに、「週刊文春」は、林氏が述べるように作家には極端に弱い。大手芸能プロダクションや政治家にはあれだけ強気なのに、相手が小説家、作家となると、どんな疑惑やスキャンダルが浮上していても沈黙を決め込んでしまうのだ。いや、それどころか、逆に作家の意を受けて記事を潰したり、不祥事隠しに奔走する役割まで平気で演じている。
その典型が、一昨年に巻き起こった百田尚樹『殉愛』(幻冬舎)騒動だろう。やしきたかじんの妻・さくら夫人をテーマにした同書をめぐっては、周知のように、さくら夫人の結婚歴など、さまざまな嘘が発覚。たかじんの長女からも名誉毀損で出版差し止め訴訟を起こされ、大きな問題となった。
ところが、「週刊文春」はこの問題で百田氏のいいなりになって、信じられないような弱腰な対応を見せているのだ。
そもそも、さくら夫人の疑惑は「週刊文春」が先鞭をつけたものだった。たかじんの死の直後、「やしきたかじん『参列者5人』葬儀の謎」(2014年1月23日号)「親族から噴出 やしきたかじん32歳未亡人への怒り 遺骨を『マカロンみたい』」(14年2月6日号)と、さくら夫人の不可解な囲い込みの動きや彼女と遺族の確執を記事にしていた。