なぜなら、戦後、日本を支配してきた親米保守層は、そうはいってもそれなりにしたたかにアメリカと付き合ってきた。対米追従を利用しながら、 日本の国益を守ってきたと言ってもいい。その代表格が吉田茂だ。吉田はアメリカから“押し付け”られた憲法を盾に朝鮮戦争、ベトナム戦争への出兵を拒み続けた。それが日本の経済復興に莫大な貢献をもたらしたことは言を待たない。以後、55年体制下での自民党は社会党に常に3分の1以上の議席を与え続け、あえて改憲できないようにしてきたという。そうして、“強力”な社会主義勢力が存在していることを理由に対米交渉においてさまざまな譲歩を引き出してきた。
だが、安倍にはそうした駆け引きがいっさいない。昨年4月の米上下両院議会での演説では歯の浮くようなセリフでアメリカを礼賛し、リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイといったジャパンハンドラーに言われるがままに特定秘密保護法や解釈改憲による新安保法制を成立させた。占領から70年も経っているのに、新たな駐留米軍基地を造ろうとし、その固定化をも進めている。
もし、“アメリカの押し付け”を言うなら、歴代首相の中でもっとも盲目的な対米追従主義者である安倍首相こそが真っ先に断罪されるべきなのだ。こんなインチキな男が喧伝する歴史修正主義に絶対に騙されてはならない。
(エンジョウトオル)
最終更新:2016.02.26 12:12