★2位 政策批判も金銭問題も…安倍政権の圧力はテレビ、新聞、週刊誌にまで! 菅官房長官の恐怖支配
この1年、もっともメディアのタブー化が進んだのが、政権批判だろう。とくに安保法制をめぐる議論では、テレビは昨年末に自民党が送りつけた“圧力文書”が影響し、TBSの『NEWS23』や『報道特集』などの一部番組や、テレビ朝日『報道ステーション』などを除いては、ただ政権の言い分を垂れ流すような報道姿勢に終始。とくに『報ステ』での古賀茂明氏による「I am not Abe」発言では、官邸は大激怒。古賀氏のコメンテーター降板やプロデューサー更迭という問題にまで発展した。
新聞も同様だ。読売と産経が露骨な政権支持を紙面化しただけでなく、昨年の誤報問題が尾を引いてか、朝日までもが弱腰に。毎日や東京新聞などの一部ブロック紙、地方紙が奮闘したものの、ほぼ大手新聞は安保法制の問題や政権側の説明の矛盾点などの正当な検証を怠った。
まさに体たらくと呼ぶほかないが、じつはメディアが沈黙したのは安保法制の問題だけではない。新国立競技場の建設問題でも、その戦犯として東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長への追及は行っても、安倍首相の責任にふれるメディアはほとんどなし。計画の白紙撤回時には、あたかも安倍首相の英断であるかのように報道されたが、そもそもIOC総会で「他のどんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」と宣言したのは安倍首相ではなかったのか。
しかも、安倍政権が圧力によって批判を封じ込めたのは、テレビと新聞だけではない。
たとえば、今年「週刊ポスト」(小学館)は、4月に高市早苗総務相の大臣秘書官をつとめる実弟が関わったとされる「高市後援会企業の不透明融資」問題を、つづく5月には菅義偉官房長官の日本歯科医師連盟(日歯連)からの3000万円迂回献金疑惑を報じた。しかも菅官房長官の疑惑はただの噂レベルではなく、政治資金収支報告書からも読み取れる明らかなもの。本来なら、一大政権スキャンダルに飛び火しておかしくないネタだ。
だが、「ポスト」の報道に官邸は激怒。まず、高市総務相の問題では、高市氏の実弟がすぐさま「ポスト」を名誉毀損で訴えたが、これが当時の三井編集長だけでなく、発行人の森万紀子氏、担当編集者、ライターまでをも被告にするというスラップ訴訟だった。さらに高市氏の実弟は警視庁への刑事告訴まで行った。じつはこの訴訟は菅官房長官の指示によるものとされているのだが、今度は自分の迂回献金疑惑が報じられてしまい、菅官房長官は怒り心頭。会見で「ポスト」への訴訟をちらつかせた。結果、「ポスト」は三井編集長を更迭し、政権批判は完全にトーンダウンしてしまった。もちろん、高市総務相と菅官房長官の金銭問題を、テレビと新聞は後追いすることなくほぼ無視しつづけたのは言うまでもない。
その後、安倍首相の体調不良問題を報じた「週刊文春」(文藝春秋)や「週刊現代」(講談社)にも抗議を行うなど、テレビや新聞だけでなく、ついに週刊誌にまで圧力をかけはじめた安倍政権。なかでもいまメディアがもっとも恐れているのは、菅官房長官だ。強硬にメディアの政権批判封じを行うその姿勢に、新聞もテレビも、そして週刊誌編集部も震え上がっているという。
その結果、どんな事態が日本に起こってしまったのか。それが次に紹介するタブーである。