★ 3位
中谷元・防衛相
「現在の憲法をいかにこの(安保)法案に適応させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った」
(6月5日、衆院特別委員会で)
前述の「法的安定性は関係ない」もたまげたが、もっと度肝を抜かれたのは、この言葉。中谷防衛相が何を言っているかというと、憲法を踏まえて法律があるのではなく、法律が先にあって憲法は帳尻合わせすればいい、と語っているのだ。
そもそも日本国憲法第98条には、法律は憲法に反してはならない、とある。だが、中谷防衛相は「憲法は骨抜きにしてしまえ」と言っている。つまり立憲主義を見事に大否定してみせたわけだ。しかも、ツイッターや講演会でうっかり言ってしまったのではない、国会の場で堂々と防衛大臣が述べたのだ。
解釈改憲による安保法制は立憲主義の否定だ、と多くの人が警鐘を鳴らし、反対の根拠にしてきたが、この中谷発言はその問題認識の正しさを逆に証明したかたちとなった。それくらい法治国家としてあり得ない発言だが、恐ろしいのはこの答弁は野党から非難されたくらいで、たいして大きな問題になっていない、という事実だろう。
そして、中谷防衛相はさらに“安保法制のありえなさ”を答弁で証明している。それが次の発言だ。
★ 2位
中谷元・防衛相
「核兵器は核弾頭を持っており、分類は弾薬にあたる」
(8月5日、参院特別委員会で)
驚きのあまり言葉を失うとはこのことだ。安保法制では自衛隊による「弾薬」の輸送が可能になるが、しかし一体、何が「弾薬」にあたるのか安倍政権はきっちり説明をしてこなかった。その点を野党からツッコまれ、中谷防衛相が詰め寄られた結果、ボロボロと出てきたのがこの発言。中谷防衛相いわく「手りゅう弾は弾薬」、そして「核兵器も分類は弾薬」だと言うのだ。
いちいち語るまでもないが、手りゅう弾には殺傷能力がある。核兵器にいたっては安倍首相もイラク戦争の話のなかで「大量破壊兵器」と呼んでいた。いや、どこからどう見ても、手りゅう弾も核兵器も「武器」だろう。ちなみに安倍政権は国会答弁で、クラスター爆弾や劣化ウラン弾、ミサイルも「弾薬」認定し、自衛隊による提供・輸送が可能だと述べている。