小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

橋下徹に最後まで転がされ、尻尾をふり続けた大阪の新聞とテレビ局…退任会見の醜態をあらためて振り返る!

 この発言は、橋下の就任以前から大阪府政・市政を取材し、大阪都構想に批判的だった吉富有治氏に向けられている。吉富氏は、読売新聞の橋下政治検証記事でこんなことを語っていた。

〈橋下さんは、自分の力の源泉である民意を味方につけるため、メディアを使った。特にテレビです。
 私はこれまで6回、雑誌の企画で橋下さんに取材を申し込み、すべて断られました。逆に、テレビの取材は2回申し込み、2回ともすんなり受けてもらった〉

〈情緒をそぎ落とす活字メディアと違い、テレビは話す内容以上に話し方や身ぶりといった「印象」が大きい。テレビの世界にいた人だから、その本質をよく知っているんだと思う〉

 橋下が活字メディアよりもテレビに頻繁に登場し、影響力を増大させてきた“テレビ政治家”であることは、先の松本氏の著書でも詳しく検証されており、多くの人が指摘するところ。吉富氏の論は自らの経験を踏まえ、あらためてそのことを示した、ごくまっとうな指摘だが、批判がとにかく気に食わないのか、橋下氏はこれを認めない。自分の影響下に入らない報道機関や記者を徹底的に攻撃し貶める、いつものやり方に出たわけだ。

 ここでも情けないのは、「手強かった」「力がある」などと持ち上げる橋下氏に篭絡され、批判精神を全く失った在阪メディアの記者たちである。「自分のメッセージを届けるのだから大メディアに応じるのは当然」という橋下氏の主張は一見もっともらしいが、実のところは、批判も批評も一切せず、自分の言い分を垂れ流すメディアでないと取材に応じない、ということである。橋下が「身内」であるテレビですら、意に沿わない報道や発言があると、さまざまな手段を使って黙らせようとしてきたのは周知の事実だ。

 それでも自社の番組や紙面に登場してもらうために批判を控え、すがりつく在阪メディアの堕落は目を覆うばかりである。

 繰り返すが、橋下はけっして私人になったわけではなく、これからも政治にコミットし続けるのだ。しかも、それは大阪だけではなく、日本の方向性を左右するような存在になるかもしれない。

 このまま何の検証もせず、彼を言いっぱなしにさせておいて、その先にいったい何が待っているのか。メディアはそのことをもっと自覚すべきだろう。
(大黒仙介)

最終更新:2015.12.29 04:58

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。