いったいあんたは何者なんだ、と誰もが声をあげる内容だったわけだが、それから1年、新たな本が発表されたわけだ。しかも、タイトルは『昭和の怪物』である。いやがおうにも期待に胸は膨らむ、というものだろう。
ということで、ページを開いてみると、やはり、前回にも負けず劣らずの驚愕エピソードが綴られていたのであった。
まず、一つ目は、あの、世界の王貞治との逸話である。なんと、なべは王の病気をスピリチュアルパワーで治したのだと言う。事は、2006年、王の胃に癌が見つかり全摘手術を受けた年の終わり、12月30日に起こった。この病気の発覚により、王は7月に記者会見を開き福岡ソフトバンクホークスの監督業を休養していた。翌年07年1月の末には来シーズンに復帰できるか否かを球団側に告げなければならない状況だったが、06年7月に胃を全摘してから半年近くが経っても出術の予後が芳しくない。
そこで、手をかざすだけで病の気を消し去ることができる不思議な力の持ち主、なべおさみに「私を助けてくれませんか」とお願いに来たのである。王とは旧知の仲でもあるなべはその依頼を快諾。さっそくスピリチュアルヒーリングを施した。その結果、車椅子なしでは外出できないような状況だった王は完全復活。春のキャンプから監督復帰できるほど回復したのであった。
ただ、この超能力治療を施すと、相手の病の気がなべの身体に移ってくるため、彼の身体は大変なことになるという。王に治療を施した後、なべはリンパ癌や類上皮肉腫といった病に冒される。「余命は2年」と医師に言われるような絶望的状況にまで追い込まれるが、手術により奇跡的に寛解。それから今にいたるまで再発はないのだという。
前作とは趣が違うが、今回の本でもなべおさみ節は健在である。ただ、彼の「ヤバい」話はこれだけではない。なべが1974年の日航機ハイジャック事件に偶然居合わせているのは好事家には知られた話だが、本書ではこの時に機内で何が起こっていたかを詳らかに明かしているのである。なんと、なべはこの事件で人質救助作戦の指揮をとっていたのだった。
機内に異変が起きると、顔面蒼白なキャビンアテンダントが「助けてください!」「コックピットの状態を、聞いてきて頂けませんか!」と、なべに救いを求めてきた。まだ新人のCAはこの状況に対応できず、顔が売れていた自分を頼りにしたのではないかと彼は述懐している。