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出生届が出されない“戸籍のない子供”が急増! 原因はDVで子供は被害者なのに極右・稲田朋美が救済策ツブし

 もうひとつは民法上の規定の問題だ。たとえば、民法772条には“離婚後300日以内に生まれた子は前夫(婚姻中の場合は夫)の子と推定する”という規定がある。「離婚後300日問題」とも呼ばれているが、この法律はDNA鑑定などがなかった明治時代から約120年にわたって変わっておらず、現代に即していないとかねてから批判されていた。

 この規定があるために、前夫の子にされてしまうことを恐れて、出生を届け出することができないのだ。

 今回、最高裁が民法733条の6カ月の再婚禁止期間のうち「100日を超える部分」について違憲判断をしたが、逆に言うと「100日以内」の再婚禁止は変わらず、「離婚後300日問題」についても放置されたまま。まったく解決にはつながらない。

 本人になんの非もないのに、国に存在を認められていないというのは、明らかに放置できない人権問題だ。少なくとも、再婚禁止期間の廃止と民法772条の改正が急務だろう。しかし、無戸籍者の問題がメディアで盛んに取り上げられた2007年頃から現在に至るまで、本質的な問題解決は遅々として進んでいない。なぜなのか。

 無戸籍者たちのリアルな生活と苦悩に肉薄する同書であるが、もうひとつのハイライトは、民法改正をめぐる政界の動きを詳述している点だ。

 第一次安倍政権下の07年、法務省が「離婚後300日問題」のうち、離婚後の懐胎が証明できる人に限り、医師の証明つきで現夫との出生届を認めるという「通達」を出した。しかし、離婚後懐胎が証明できるのは、当時の法務省推計で300日問題全体のたった1割程度だったという。ようは、その場しのぎの対応であり、本質的には何も解決できていなかったのだ。

 実はこのとき、民間の働きかけと世論の高まりがきっかけで、議員立法による特例法案が実現しかけていた。だが、寸前で自民党保守派の強硬な反対により、法案が潰されていたのである。

 著者の秋山氏は、07年3月に発足された自民党の「民法772条見直しプロジェクトチーム」の座長を務めた元自民党衆議院議員・早川忠孝氏のもとを訪ねる。

「国会で取り上げられたからかマスコミで取り上げられたからか、法務省内でもなんらかの検討をしなきゃいけないということで、いくつかの(救済)案ができていました。その中で、おそらく大臣(=長勢甚遠法相・当時)が反対しているからか、表に出てこない案があったんですよね。それを試案として引き取ったんです」(本書より早川氏の談。以下同)

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