だが、そんな安彦氏が、今回の朝日新聞のインタビューでは「今の若者」に向けて、こんなメッセージを送っているのだ。
「だまされないでほしい。安保法制の反対デモを見ていると、学生運動をしていた我々みたいに跳ね返ったことをしないで粛々とデモをしているので見直した。一方、『9条守れ』『平和国家守れ』で思考停止してしまっては残念だ。例えば、イスラム過激派組織『イスラム国』(IS)みたいなものにどう対応するのかなど、この先、自分の頭でよく考えていってほしい」
安彦氏も評価する安保法制反対デモでは、SEALDsなどの若者が全国で声を上げた。それは、既存の左翼による動員の結果でも過激派のオルグでもなければ、実のところイデオロギー闘争ですらなかった。憲法を無視し、国民主権を破壊しようとする安倍政権への疑義が、彼らの行動の理由だ。むしろ、SEALDsを見ていると「9条」や「反戦」によって「思考停止」するような時代は、すでに終わっているように思えてならない。
「止められないと思えるものを、どう止めるかが日本人にとって大きな課題」と、安彦氏は言う。そのためには、まず“止められないと思う”自分自身の殻を打ち破るほかないのではなかろうか。
(宮島みつや)
最終更新:2018.10.18 04:22