ストーリーは現在、激戦が繰り広げられるアフリカに派兵され、多くの仲間が殺されているなか、それでも、人を殺めずに、戦うことなく「世界を変える」ことができないかどうかを、「超人的能力」に目覚めた主人公が必死に模索する展開となっている。その方法が何かはまだ明らかになっていないが、そこに作品を通して新田が伝えたいメッセージがこめられているのは間違いないだろう。
最後に、前出の「Journalism」から、現実世界の我々にもできる「世界を変える」方法について新田が語った言葉を引いて本稿を閉じたい。
〈昨年末の衆院選は、投票率が戦後最低の52.66%だったということです。僕は投票に行きましたが、正直、棄権する人の気持ちはわかります。「誰が総理になっても一緒だ。どうせ世の中は変わらない。受け皿となる投票先もないし」
僕も昔はそう思っていました。ところが昨年末の選挙後から世の中は大きく変わってしまいました。誰が総理になるかによって、こんなにも違いが出るとよくわかりました。
最近はまた、逆の意味でも世の中が変わりつつありますね。一部の若者たちや、戦争体験者の方々など、声を上げる人々が増えています。
(中略)
僕は次の選挙にも必ず行きます。受け皿がないからなどと棄権する必要はありません。自分が投票した政党に政権を取ってもらいたいわけではなく、ひとつの政権が暴走しないよう、国会の場で釘を刺す役割をしてくれればいいのです。それもしっかりとした大きな釘を〉
『隊務スリップ』の世界を現実のものとしないために、我々にできることはまだまだ残されている。
(井川健二)
最終更新:2018.10.18 04:43