高裁で逆転無罪の判決がくだった元オウム真理教信者・菊地直子氏(YouTube「ANNnewsCH」より)
オウム真理教元信者・菊地直子氏の無罪判決に衝撃が走っている。
一審では実刑判決だったものが、一転高裁で無罪。これだけでも当局にとって衝撃だが、しかし理由はそれだけではない。一審有罪の根拠となった教団幹部で死刑囚の井上嘉浩死刑囚の証言の信用性を、高裁では認めず無罪を言い渡したからだ。
「(井上証言)は不自然に詳細かつ具体的で、信用できない」
井上死刑囚が菊地氏の裁判に証人として出廷したのは昨年5月12日だ。その際井上死刑囚は一審有罪の根拠となった、重要証言を行っている。それが菊地氏が問われた都庁郵便物小包爆破の爆発物運搬に関し「爆弾を製造した中川智正死刑囚が、菊地被告に爆弾運搬を指示した。菊地被告もその目的だと承知していた」というものだった。
しかもその際井上死刑囚は、菊地氏と中川死刑囚が男女の関係にあったことも暴露している。
「菊地さんと中川さんは当時、男女の戒律を破った関係だと認識していたので、そこが都合がいいかもと思いました。女性としての心を利用した面もあり、申し訳ない」
「菊地さんはアジトに来るたびに中川さんと和室に2人きりでこもっていた」
この証言の持つ意味は単に男女関係という以上に裁判の行方を左右していく。
菊地被告は運んだ爆発物は「農薬をつくるもので、爆薬の原料だとは知らなかった」として一貫して無罪を主張し、男女関係についても否定するなど井上証言を真っ向から否定、さらに中川死刑囚もまた法廷証言で、「(薬物の使用目的を)菊地被告に説明したり話したことはない」「菊地被告の知識は高校の科学レベル」と菊地被告の関与を否定していた。