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オウム真理教・菊地直子「無罪判決」でわかった井上死刑囚の嘘! 証言の背後に性愛への嫌悪と検察シナリオ

 しかし検察は“2人は恋愛関係にあった“との井上証言を最大限に利用した。中川死刑囚の証言は恋愛関係にあった菊地被告を庇っているだけ、として井上証言を根拠に、それに沿う形で立証を展開していったのだ。

 ところが一審では認められた井上証言が高裁では「信用できない」と否定されてしまう。

 だが、この裁判における井上証言は当初から、不自然だとの声が指摘されていた。井上自身が指示したわけでも、中川死刑囚が指示しているのを直接聞いたわけでもない。菊地被告に説明していた、了解を得ていたというのは推測にすぎない。しかも、2人が「男女の戒律を破った関係」であることまで法廷で暴露するとは……。

 そんなところから、この証言の背後には、井上死刑囚の教団内の性愛関係に対する嫌悪感があるのでは、という見方もあった。周知のように、オウム真理教の出家信者は「不邪淫」という戒律があり、配偶者以外との性行為や恋愛、オナニーが禁止されていた。ところが、現実はまったくちがっていて、男女が入り乱れて肉体関係をもつという、むしろ一般社会より乱れた状況にあった。

 菊地被告についてもまた中川死刑囚だけではなく、他の信者らに恋愛感情を抱いていたことや肉体関係があったことも明らかになっている。さらに菊地被告は逃亡生活の中で高橋克也被告と行動をともにし、レイプまがいで関係を迫られ、男女の仲になったという報道もあった。

 そんな中で井上死刑囚は女性に触れられることを「エネルギーが抜ける、カルマが交換される」と極度に嫌がり、今回の法廷でも“今でも童貞”と誇らしげに語っていたほど潔癖をつらぬいていた。つまり、菊地被告と中川被告の男女関係を法廷で暴露したのは井上死刑囚のそういった潔癖性の現れではないか、というのだ。

 だが、それよりもやはり大きいのは、検察の存在だろう。検察としては、当事者である中川死刑囚が菊地被告の関与を否定しているという状況をくつがえすには、中川死刑囚と菊地被告の“特別な関係”を立証するしかなかった。井上死刑囚はまさにシナリオ通り、その証言者を演じたのだ。

 実際、井上死刑囚はこれまでも一連のオウム裁判で、検察のシナリオに沿った、いわば検察の都合のいい証言を続けてきた。

 例えば菊地氏と同じく17年間の逃亡の末逮捕された高橋克也被告は地下鉄サリン事件や目黒公証役場事件の関与に関して、「サリンとは知らなかった」「被害者の仮谷清志さんに注射を打つことも知らなかった」と主張したのに対し、井上死刑囚は「サリンを撒くから運転手をするように」「仮谷さんが暴れないようにクスリを打って眠らせることを高橋被告に確認した」と有罪の根拠になる重要な証言をしている。だが一方で井上死刑囚は逮捕当時「(仮谷さんの注射について)高橋は知らなかった」と全く逆の供述していたのだ。

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