小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

右派論壇誌“ヘイトスピーチ”広告の20年間を検証! 彼らは敵の設定と愛国話法をどう変化させてきたのか

 そう語るのは著者のひとり、早川タダノリ氏。2010年に戦前・戦中日本の戦意高揚に一役買った雑誌等を集めた『神国日本のトンデモ決戦生活』(合同出版)を上梓、以降も精力的に翼賛アジテーション型広告チラシの物語構造を分析する著書を発表してきた。全体の構成と一部コメントを担当した本作『憎悪の広告』でも、右派論壇誌の「日本スゴイ!」的自画自賛広告の歴史に一章を割いている。

「愛国心というのは、単に『私は日本を愛しています』という表明ではなくて、『愛国心を持て!』と、必ず命令形で語られる。これは人に何かをやらせるための大義名分、政治的な言葉であって、実は個人的な愛情の告白でも好き嫌いの話でもないのです。この愛国心の宣揚を歴史的に追跡してみると、嫌韓嫌中、つまり“敵”への憎悪と常に一体なのではないか、と思うんです」

 たとえば、同書で取り上げられている右派論壇誌広告を見てみると、〈「愛国心」はタブーではない〉(「SAPIO」98年2月4日号)という“戦後教育が日本人から「愛国心」を剥奪した”と言いたげな被害者的感覚が見当たる一方、ほぼ同時期には〈世界からはこんな声も だから、日本が好きだ〉(「SAPIO」99年10月27日号)なる、昨今の外国人を登場させ日本を褒め称えるテレビ番組を彷彿とさせる惹句があらわれている。そして同じ号には〈「反日感情」は日本のメディアが作っている〉という“一部の日本人も敵だ!”との宣言も。

「今、みなが一斉に身構えるのが、『愛国』の裏側としての『反日日本人』『自虐的』というキーワードです。そのひとつの転機となったのが97年前後に『自虐史観』という言葉を作りだした『新しい歴史教科書をつくる会』による『自虐史観教科書』『日教組の反日教育』バッシングでした。国会図書館で調べてみると、最初に『反日日本人』という言葉が登場したのは、83、84年ごろ。現在『つくる会』の教科書を出版している自由社が出していた『自由』という雑誌に、当時の右派論壇人、小堀桂一郎らが書いていたぐらいで、じつは『反日』という言葉は狭い右派のセクトだけで使われていたんです。それが今ではワイドショーなどでも日常的に聞くようになりましたよね。新しい概念や言葉を作ることによって、社会的な意識が形成されていくというのは、出版業界に身を置いているとよくわかります」

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。