防衛省・自衛隊ホームページより
参議院の安保法制審議が進む中、重要事項でもあるにも関わらず、大きな声で語られないことがまだある。それが安保法制施行を前提とした予算の増額だ。安倍首相、そして中谷防衛相もそろって「安保法制が変わっても防衛費は増えない」「装備の大幅な増強はない」と明言している。しかし、それらも大ウソだったことが最近になって次々と明らかになっている。
防衛省は8月30日、2016年度予算の概算要求で、前年比2.25%増の5兆911億円を計上した。これがそのまま通れば、初の防衛予算5兆円超えとなる事態だ。
安倍政権発足以来、4年連続の増額要求だが、その内容を見るとさらに驚く。とくに尖閣諸島周辺の中国軍に対応するなどの名目で、MV22オスプレイ12機(1321億円)、イージス艦1艘(1675億円)、無人偵察機グローバルホーク3機(367億円)のほか、離島防衛にも有効だとされる機動戦闘車36両、新型空中給油機1機、最新鋭潜水艦1隻の建造、購入費などを新規計上したのだ。
専門家によるとこれら装備は、まるで米艦を防護することを可能にするためのものだというが、安保法制の裏には、“米軍のための安保法制”という政府の思惑に加え、防衛省、防衛族が予算の焼け太りを狙っていることが明らかになったということだろう。さらに沖縄県石垣島への地対空、地対艦ミサイル部隊配備のため、地元との調整を画策さえしている。
だが、今回の安保法制で予算要求を増額したのは何も防衛省だけではない。それが一見、安保とは何の関係もないと思われる文部科学省なのだ。これを報じた「東京新聞」(9月3日付)によると、文部科学省は「広義の安全保障に当たる」として気候変動や地殻変動データ収集のための衛星開発費や、H2Aロケットに続く「H 3ロケット」の開発など5つを例示し、前年比37%増の819億円を要求した。