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閣議決定の半年前に自衛隊統合幕僚長が米軍参謀総長に安保法制を約束! 日本はもはや軍部主導国家か

 しかも、河野統合幕僚長はアメリカ側に対し、「(自衛隊の活動拠点があるアフリカの)ジブチは海賊対処のみならず、他の活動における拠点にしたいと考えている」とも明言。ジブチに関しては今年4月、中谷防衛相が「ジブチの自衛隊拠点の強化や活用をとくに念頭に置いて検討しているというわけではございません」と述べていたはずだが、自衛隊トップはその答弁よりはるか前に、アメリカに“ジブチを拠点に自衛隊の活動を拡大する”とはっきり宣言していたわけだ。

 今回発覚したこの内部文書は、日本国憲法を揺るがしかねない大きな問題を孕んでいる。「与党の勝利により2015年夏までには終了する」──これは、日本の自衛隊のトップである統合幕僚長と、アメリカ陸軍のトップである軍参謀長官との間で交わされた“密約”とも言える。ようするに、日本国民が選出した国会議員による議論をまったく経由せずに、日米の軍部が新たな安全保障について約束をしていたということ。“軍部の暴走”を意味していると言わざるをえない。

 そもそも我が国の憲法は、第66条で「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」としている。いわゆる文民統制の規定だ。日本における文民とは、旧日本軍の思想的系譜に連なる者や、現役自衛官以外のことをいう。戦後日本は旧日本軍の反省から、文民である防衛大臣が自衛隊の運用を決める制度を表向き堅持してきた。これは、主権者である国民が、選挙により選出した代表者らを通じて、軍事に関しても最終的な決定権をもつという民主主義の基本中の基本である。

 逆に言えば、文民統制の崩壊は、戦中日本のような軍部の暴走を招く危険性があるということだ。たとえば第二次世界大戦時、ときの首相東條英機は陸軍大臣を兼務する軍人であったが、これは、軍事という強大な暴力による実力行使を国民が食い止める術がないことを意味していた。繰り返すが、今回の会議録が示すのは、国民の代表による閣議決定や国会審議よりも前に、自衛隊の統合幕僚長が米軍部に法制の確約をしていたということだ。つまり、政治家による軍部の制御が正常に発揮されていないということと同義なのである。

 しかも、中谷元防衛相はこの内部文書を突きつけられると、「ご指摘の資料については確認できておりませんので、この時点での言及は控えたい」「資料がいかなるものかは承知しておりません」と逃げてばかりだった。もしもほんとうに、防衛大臣がこの報告書で書かれている日米軍トップ間の約束を知らなかったというのならば、それこそシビリアンコントロールができていない証拠だ。かたちなりとも文民たる防衛相が今後どのような返答をするのか、国民は注視せねばならないだろう。

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