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池上彰も唖然、読売新聞が世論調査で安保法制賛成を誘導する露骨な質問! でも結果は…

 よく読めば露骨な誘導質問であることは瞭然だろう。安全保障関連法案の内容についての質問にもかかわらず、法案は「日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するもの」と、設問の段階でその評価を肯定的に言い切っている。一方で、当然のように自衛隊員の死亡リスクや、日本が他国の戦争に巻き込まれるという危険性は隠匿している。つまり読売は、「平和」「安全」「国際社会への貢献」という美辞で、回答者をミスリードさせようとしたのだ。

 ここに安倍政権への配慮があるのは確実だ。マスメディアによる世論調査の数字は、しばしば国会答弁でも引用される。ひっきょう、この読売の“世論操作”を根拠として与党が「国民のなかでも賛否が均衡」と、現実とは異なる主張をすることが可能となる。というか、まさにそれが読売の狙いと見て間違いない。

 事実、読売は6月23日の社説でも「国会95日間延長 安保法案を確実に成立させよ」と題して、「安保法案の成立を最優先する首相の判断は評価できる」と、安倍首相の背中を強く押している。読売も含むすべてのマスメディアによる世論調査で、国民の6割前後が今国会での安保法制法案成立に関して「反対」「必要ない」と答えているにも変わらずだ。

 もっとも、読売新聞がれっきとした報道機関であるならば、常に“世論”を忖度して社説をうつことが望ましいわけではない。しかし、世論調査の名目で遂行されるこの露骨な“世論操作”の手口を見せつけられると、読売はもはや報道機関でなく、政府の広報機関だと言わざるをえないだろう。なぜならば、世論調査は“統計的社会調査”であって、新聞社の言論として認められる“論説”ではないからだ。統計的社会調査の報道に意図や主観をねじ込むことを一般的になんと呼ぶか。捏造だ。

 民意を置き去りのまま「戦争のできる国」へと邁進する安倍政権。それに盲従し、世論操作までうってでる読売新聞と産経新聞。この国の“大政翼賛会化”は、着実に進行しつつある。
(小杉みすず)

最終更新:2015.08.04 04:25

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