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礒崎首相補佐官に続き官邸推薦の憲法学者も「法的安定性関係ない」「中国に対抗するため安保法は必要」…もはや日本は法治国家じゃない

「必要だからルールを無視しても構わない」。これだけでも、法の支配や立憲政治を否定するトンデモ内閣ということになるが、そもそも本当に必要なのかがまったく不明だ。本サイトでは何度も指摘しているが、安保法制の前提として安倍政権が耳にタコができるほど繰り返している「日本を取り巻く安全保障環境が激変し、厳しさを増している」というお題目自体、かなりいい加減なもので、そのほとんどは、個別的自衛権で対応できる。

 安保法制推進論者に共通しているのは結局、論理や理屈ではなく「中国が怖い」「中国に対抗したい」という感情論にすぎない。

 しかも、それは憲法を専門にする学者まで同じらしい。周知のように集団的自衛権行使容認については、ほとんどの憲法学者が違憲であると主張しており、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のアンケートでは「合憲」だとする憲法学者は4人。また、当初、菅義偉官房長官が名前をあげることができたのも3人だけだった。

 その数少ない安保法制合憲論の憲法学者のうち、日大法学部教授の百地章氏、大東文化大学大学院法務研究科教授の浅野善治氏、中央大学名誉教授の長尾一紘氏の3人が「週刊新潮」(新潮社)の7月30日号で〈なぜか疎外されている「集団的自衛権は合憲」に憲法学者座談会〉と題して、鼎談をしているのだが、その内容がすごいのだ。

 まず、出席者はいずれも、一応大学で憲法を専門に研究しているわけだから、安保法制が合憲とされる解釈論を語ってくれるのだろうと思っていたら、冒頭から違憲論への批判が延々続く。

 浅野氏が、「(違憲論者は)多いですが、具体的にどんな点が問題なのかについて、きちんとした論拠に基づいて説明している学者はほとんど、いや、全くいない」と口火を切ると、長尾氏が「かつて、自衛隊の存在が違憲と主張された時代がありました」と続ける。いまは違憲論者が多数派だけど、やがてそうでなくなると言いたいようだ。

 そして、これを受けた百地氏がこう疑問を呈する。

「法的安定性の確保は大切ですが、それが確保されないことが、どうして憲法違反になるのでしょうか」

 安倍首相の子飼いタカ派政治家ならともかく、まさか憲法学者から「法的安定性は二の次」発言が飛び出すとは……。 

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