つまり、「在日」を否定すると、今度は一転、「在日といわれるのを嫌がるってことは在日を差別してるんだろ」と攻撃を受けてしまう。だから、多くの有名人はネトウヨの「在日認定」が事実無根であっても沈黙を貫かざるをえない。そして、ネトウヨたちは「在日認定」にこういう反論ができない構造があることもすべて織り込み済みで、攻撃を仕掛けてきているのだ。
しかし、この沈黙という方法論も、むしろネトウヨたちを「反論でないことは在日決定」などとさらに勢いづかせてしまう。その後どんな発言をしようとも「在日だから」とネトウヨの攻撃に晒され、主張を矮小化されたり、場合によっては政治的発言ができない事態に追い込まれてしまう。
ではどうすべきなのか。たとえば、前述の石原慎太郎の在日認定発言に対して、福島瑞穂(当時社民党党首)がとった対応は「在日認定」へのお手本というべきものだった。
「私も、私の両親も帰化したものではない」と事実を明らかにした上で「(帰化を)問題とすること自体、人種差別」と指摘、さらに、自分と違う政治信条を差別によって攻撃する手法をこう批判した。
「政治家の政治信条を帰化したからだという事実誤認に基づいて説明することは、私の政治信条をゆがめ、踏みにじるものだ」
また、芸能人なら、本サイトで紹介した SHELLYのような方法論もあるかもしれない。デモを肯定したことで「SHELLYの母親は韓国系」とデマ攻撃を仕掛けてきたネトウヨに対し、彼女はこんなユーモアと皮肉で返した。
「ねーねー、なんでうちの母が韓国系になっちゃったの??チャプチェが作れるから?(笑) 浅はか過ぎてなにも言えない…」
ただ、ネット言論のリテラシーは想像以上に低い。こんな見事な返しをしたSHELLYにさえ、あるネットニュースはこんな見出しをつけた。
「SHELLY母親を「韓国系」と言われ不快感をあらわに」