左・中曽根康弘『自省録』新潮社/右・中曽根元首相が慰安所を設置させたことを示す資料
ようやく、マスコミがこの問題を取り上げてくれた。今日の『報道特集』(TBS)がインドネシアの慰安所づくりへの日本軍関与問題を報じたのだが、そのなかで、当時、海軍中尉だった中曽根康弘元首相が直接慰安所づくりにかかわっていた事実を指摘したのだ。
本サイトは、朝日新聞が慰安婦問題でバッシングにさらされていた最中の昨年7月にこの問題を記事にしていた。中曽根元首相は海軍時代の回想録で自ら「原住民の女を襲う」部下のために「苦心して、慰安所をつくってやった」と書きながら、外国人特派員協会で追及されると、一転して否定。
しかし、本サイトは防衛省のシンクタンク・防衛研究所で中曽根が当時、主計長として統括していた「海軍航空基地第2設営班」の資料を入手。そこに中曽根主計長の取り計らいで、「土人女を集め慰安所を開設」という記載があることをスクープしたのだ。
慰安婦への軍の関与と強制徴用を証明する明らかな客観的証拠だったが、当時はどの新聞、テレビも一切無視。いつもの「反日勢力のデマ」ということで片付けられてしまった。
それを今回、『報道特集』が追及したのである。中曽根の手記や第2設営班の記録はもちろん、元慰安婦や元日本兵の証言もまじえつつ、徹底取材で軍の関与や強制の事実に肉薄するものだった。案の定、報道後はネトウヨの攻撃で炎上状態になっているが、そうしたリアクションが予想されるなかで、あえて踏み込んだ『報道特集』の勇気には拍手を送りたい。
しかも、『報道特集』がこの時期に、この問題を取り上げたことにはもうひとつ大きな意味がある。それは、安倍政権が慰安婦問題をなかったことにするために立ち上げた自民党のプロジェクト「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」の委員長に中曽根の息子である中曽根弘文が就任したからだ。