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放射能プールに潜らされる作業員、死亡事故の隠蔽、ボヤの放置…原発労働の悲惨な実態

 さらに、同僚の過失で足場から踏み外して足首にひびが入ったときも、弓場さんは痛みに耐えながら仕事をしたという。

「ちょっとした怪我なんかしょっちゅうだから……報告したくないっていうの?報告したら帰れって言われちゃう」

 原発が温存する多重下請け構造は、賃金のピンハネだけでなく、仕事を失わないために病気や事故を泣き寝入りすることも暗に強いる。そのため、原発で労災請求がされることは、ほとんどないという。

 ボロ雑巾のように使い捨てられるのは、底辺の日本人ばかりでない。リーマンショックで自動車工場をクビになり、2010年から福島原発で働きはじめた水野一豊さん(仮名・36才)は、驚くべき光景を目の当たりにする。

「(燃料)プールに入る外国人はよく見かけました。一回入れば、200万円とか300万円とかもらえて、200ミリから300ミリ被曝するって。白人もいましたよ」

 原発作業員の年間被曝量は50ミリシーベルトと制限されているため、日本人労働者にそのような作業をさせると違法行為になる。外国人労働者に違法な大量被曝を負わせることを、「公然の秘密」としながら、原発は維持されている。

 事故が「公然の秘密」とされるのも、福島原発事故よりずっと以前からだった。火をつかう作業が多い原発内では、ボヤが起きることもしょっちゅうだ。

 福島原発で作業員の管理・教育と、構内の見回りをする仕事、通称「安全さん」に16年間従事していた高橋南方司さん(71才)はこう証言する。

「布をかけて酸素を遮断するとか、消火器を使わないでもみ消して下さいと。第一発見者が『あなたが火元じゃないですか』と疑われる。そんなことで時間をとられると困るから見てみぬふりをしておく」

 放水したり消火器を使うと火災扱いになり、消防署に届ける義務が出てくる。報告を避けるため、小さなボヤであれば、周りのものをどかして放置するのが原発内の「常識」となっているという。

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