国民の「表現の自由」を著しく制限しようとしながら、権力と権力におもねる者の「表現の自由」を声高に叫ぶ。まるで戦前のような発想だが、実は、この思想の代表選手が、安倍晋三なのだ。
昨年11月、『NEWS23』(TBS系)に出演した際、安倍は「街の声」のVTRに「6割の企業が賃上げしている。全然声が反映されてませんが、おかしいじゃないですか。問題だ」などと抗議。これについて、15年3月に衆院予算委員会で批判されると、「私の考えを述べるのは言論の自由」だとして反論したのだ。
ようするに、安倍は近代民主主義国家において、表現の自由が権力者を批判する自由として獲得された歴史のことも、権力者は表現の自由に守られる側でなく、表現の自由を保障する側であることもまったくわかっていないのだ。
しかも、今の自民党は、今回の勉強会での発言を見てもわかるように、まさに安倍と同じネトウヨ的発想の安倍チルドレンに覆われつつある。そして、信じられないことに、メディアや言論人、ネットでも、政権に尻尾をふって、政権批判の自由を否定し、安倍政権の権力者たちの言論の自由を最大限に尊重する動きが大きくなっている。
今、危機に瀕しているのは、憲法9条が守ってきた平和主義だけではない。民主主義の根幹である「表現の自由」が、安倍政権によって奪われようとしているのだ。
(エンジョウトオル)
最終更新:2015.07.03 11:21