たとえば、ニュースキャスターの辛坊治郎氏は、関西ローカルの朝の情報番組『朝生ワイド す・またん!』(読売テレビ)で、毎日新聞の報道を相手取り、こんな反論をした。
〈発言内容がいいとか悪いとかっていう話ではないんですよ。ただね、毎日新聞が自民党の勉強会でプライベートな人間がやってきて好きなこと言ったということに関して、それを批判するような記事を書くのは、ちょっとね、言論機関としてこれは自殺行為ではないかな、と私は正直思います〉
また、フリーアナウンサーの長谷川豊も自身のブログで、「今回の件、百田氏は悪くない!」と題した記事を掲載。そこでは、沖縄選出の野党国会議員らが百田に抗議声明を出したことに触れて、こう記している。
〈おい、この5人、はっきり言って申し訳ないが、そんなバカなら、国会議員なんてやめろ。税金から毎年3000万円以上ももらってんじゃない〉
〈沖縄の議員が百田氏に「謝罪しろ!撤回しろ!」と言ってるのは全く同じである〉
極めつきは雑誌「WiLL」(ワック)編集長・花田紀凱氏だ。ブログ記事でこう噛み付いた。
〈「言論の自由」と言い、「言論統制」と言うならば百田さんに「言論の自由」はないのか。言い方はややキツかったかもしれないが、百田さんにも沖縄2紙の報道を批判する「言論の自由」はある〉
擁護の内容はいずれもほとんど同じで、百田氏には言論弾圧発言をする自由があり、それを非難するメディア報道や沖縄の声のほうが言論弾圧だというのだ。
まったくため息しか出てこない。こいつらは、本気でこんな屁理屈が通用すると思っているのか。いや、それとも、わかっていてわざと話をスリカエているのか。いずれにしても、ここは、彼らが口にしている「言論の自由」という主張がいかにインチキであるかを暴いておく必要があるだろう。
まず、はっきりさせておかなければならないのは、今回の件で誰も百田の言論の自由を侵害も弾圧もしていないということだ。百田に言論の自由があるのと同じように、メディアにも百田批判をする自由があり、メディアはそれを行使しているだけだ。
この間、百田がいったいメディアに何を言われたというのか。各社の社説を読んでみればいい。「沖縄県民全体に対する明らかな侮辱」(朝日)、「報道の自由に対する挑発、挑戦である」(東京)、「基地負担に苦しむ県民の感情を踏みにじるような暴言」(毎日)「百田氏の批判は、やや行き過ぎと言えるのではないか」(読売)……。