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ドローン、佳子さま脅迫でも…「威力業務妨害」「偽計業務妨害」の濫用が招く言論弾圧社会

 元教師への威力業務妨害罪適用は、国家主義的傾向を強める権力の意向に逆らったことで適用された不当ともいえるものだ。同様のケースとして、特定秘密保護法に反対する男性に対しても適用されている。それが13年12月6日夜、特定秘密保護法の強行採決に抗議して参議院本会議場に靴を投げ入れた男性が、威力業務妨害罪で起訴された一件だ。一審判決では「議事妨害の恐れがあれば威力妨害だ」と、強引ともいえる有罪判決が下されている(その後控訴)。

 もうひとつ重要な点がある。それが「偽計」や「威力」の対象が単なる民間や経済活動だけでなく、今回のように官邸や皇宮警察に対する「業務妨害」へと拡大されていることだ。

「官邸職員や皇宮警察はもちろん公務員です。公務員に対しては業務妨害罪とは別に刑法95条で公務執行妨害が定められている。これは簡単に言えば公務員の職務執行に対する暴行、脅迫に対応する法律です。しかしそれに加えて『業務妨害』まで裁判で認定される傾向が強くなっています。これでは権力が二重に、そして過当に保護されることにもなるので大きな疑問です」(法曹関係者)

 こうなればなんでもアリだ。例えばテロ防止やネット犯罪抑止などという建前で、何でもかんでも「業務妨害罪」を恣意的に乱用することが可能だからだ。さらにこれが進めば、権力にとって都合の悪いスキャンダルや政策批判をしただけで「政策遂行という業務を妨害した」などと恣意的に運用される可能性すらある。これは、言論にとっても重大な危機的状況といえるだろう。

 だが、こうした事態に司法関係者、学者、そしてメディアの動きは鈍い。ドローンと佳子内親王が浮かび上がらせてくれたこの問題を、軽視すべきではない。
(伊勢崎馨)

最終更新:2015.06.01 12:04

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