『しごとのはなし』(ぴあ)
「総理大臣だってバカはバカでしょ」
爆笑問題の太田光がこんなふうに安部首相を痛罵したのは、3月29日放送のTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』での一幕だ。この日の放送で太田は、政府が沖縄普天間基地の辺野古移設を強行している問題に触れ、「安倍っていうバカ野郎」「私は個人的に(安倍首相を)バカだと思ってますけど」「沖縄は日本ですよ。何で日本を守らないのあのバカは」と“安倍はバカ”を連発。相方の田中裕二がなだめるも太田は「言い過ぎてねえよ!」と意に介さなかったが、この憤りには理由がある。
基地移設問題では先日、翁長雄志沖縄県知事が沖縄防衛局に海上作業停止を指示していたが、政府はこれを無効にするとし、実際、30日には林芳正農林水産相が作業停止指示の効力を止めている。政府は今後も沖縄の民意を無視し続けるだろう。
これに対し太田は「(翁長知事が)会おうと言っているのに、会おうともしない。選挙で翁長さんが県知事になったわけだから、あんたたちは選挙の意味を全部無効にすると捉えられてもしょうがないよね」と、民主主義の根底を覆す安部政権をまっとうに評したのである。さらには安倍晋三の首相としての資質についても、こう言及した。
「安倍っていう男のやっていることは、幼稚すぎると思うんだよね。自分の都合が悪くなったら会いませんみたいなのは、いくらなんでもバカにし過ぎなんじゃないの」
案の定、これらの発言でネットは炎上。ツイッターなどでも、太田は集中砲火を浴びている。
「この反日チョン芸人が^^ 名誉棄損か侮辱罪かな・・・まあ官邸と公安は動いているはずなんで^^」
「一国の総理大臣に対してのこの態度?? バカな教養もない一介の芸人のくせに総理大臣を罵倒されるのは私までバカにされたように思えて腹立たしく思いました」
「侮辱罪または名誉毀損罪なんだが、知恵遅れの言うことだし責任能力が疑わしいので不起訴だろ」
まったくもって、ため息しかでてこない。本サイトも先日、「安倍晋三の問題は政治性でなく人間性だ!」と題した特集記事のなかで「安倍首相は人格乖離」「インポ・マッチョ」「マザコン」と評する識者らの論評を紹介したが、これに対しても太田の一件と同様に「これは批判じゃなくて、名誉毀損というレベルで、仮にも一国の首相に対して安易に向けていい言葉ではない」などとネットユーザーから非難が殺到した。
この際だから、はっきりと言っておかねばならないだろう。その認識は根本から間違っている。むしろ「一国の総理大臣」だからこそ、「安倍はバカ」「インポ」「マザコン」といった論評が容認されるのである。
なにもこれは過激なアジテーションとして言っているわけではない。過去に裁判所がこうした表現を認める判決をくだしているのだ。