「下村博文 公式WEB~教育再生。日本創生。~」より
いよいよ、安倍政権による愛国強制教育が具体化し始めた。文部科学省は先日の中学校教科書検定で、「政府見解や確定判例を確実に反映させる」という新基準を厳格適用。社会の教科書では領土問題の記述が倍増し、過去の戦争犯罪の修正を命じられる事例が続出した。
たとえば、関東大震災時の朝鮮人虐殺の犠牲者数について、「数千人」としたある教科書の当記述が「当時の司法省は230名あまりと発表した。数千人になるとも言われるが、人数に通説はない」と改められた。
アイヌ差別をめぐる記述も「アイヌの人々の土地を取り上げ」の記述が「政府はアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとした」と、恩恵を施したような表現に書き換えられた。
まさに戦後の平和教育を否定し、国家の一方的主張を押し付ける戦前並みの国民教育がスタートしたといえるだろう。
しかも、彼らが狙っているのはたんに日本の戦争犯罪の隠蔽だけではない。検定の新基準では、愛国心を養うことを盛り込んだ改正教育基本法の教育目標などに照らして、文科省が不合格にできることにもなった。教育を通じて、彼らが最終的に狙っているのは「国のために命を投げ出せる人間づくり」なのだ。
そのことは、安倍首相とともに愛国教育を推進し、この戦前回帰の教科書検定を実行した下村博文文部科学相の発言を見れば明らかだ。
下村文科相といえば、偽装政治団体によるヤミ献金疑惑が持ち上がりながら、文科相の椅子に居座り続けているが、その下村が東日本大震災が起きた2011年の終戦記念日、8月15日に、自分の公式ブログでとんでもなく恐ろしい主張を展開していたことがわかった。
このブログは、現在、削除されているが、「靖国神社参拝」というタイトルがつけられており、歴代総理大臣が靖国参拝をしないことへの批判がテーマのようだ。ところが、のっけからこんな台詞が登場する。
〈私にとって3・11は「早く戦後レジュームから脱却しろ」という天からのお告げだったと受けとめている。〉
そのうえで、小泉首相が現職総理として唯一参拝したことに触れながら、小泉首相が「心ならずも」と発言したことをもちだし、強引に3.11と対比し始めるのだ。