〈日本人が新たに抱くあの戦争――大東亜戦争の心象は、この精神の高貴さに満ちた「民族の叙事詩」に向けられるべきものではないのか。すなわち、「民族の栄光」としての戦争である。〉(同上)
ナチスヒトラーのスローガンと同じ「民族の栄光」という言葉を駆使して、先の戦争と特攻を高貴な戦いと絶賛する。これはどう考えても、マジなヤツだろう……。改憲保守派は護憲リベラルを「脳内お花畑」と揶揄するが、中西センセイの頭の中も相当にキラキラしているといわざるをえない。
しかも、前述したように、この中西氏と安倍首相は非常に懇ろな仲で、タカ派首相の知恵袋的役割をずっと果たしているのである。当然、今回の有識者会議のなかでも、中西氏は安倍首相の代弁者として大きな発言力を持つことになる。
安倍首相は有識者会議の初会合で、「先の大戦への反省、戦後70年の平和国家としての歩み、その上にこれからの80年、90年、100年があります」と挨拶した。実際の談話がどうなるかは今夏まで待たねば分からないが、少なくともこの人選を見る限り、安倍首相が「日本はコミンテルンの謀略によって戦争にひきずりこまれた」「先の大戦は民族の栄光のための聖戦であった」なんていうホンネをもっていることは間違いないだろう。
(梶田陽介)
最終更新:2017.12.13 09:40