ところが、玉木議員がブログで明らかにしたところによると、二人の記者はその後、信じられない対応をする。まず、帰り際、「これは記事にはなりませんね」と二人の記者に聞くと、こんな答えが返ってきたのだという。
「いや、違法でないことは確認できましたが、記事にするかどうかは別で、上の判断になります」
「この取材そのものが、上からの指示で始めたものであり、記事を掲載するかどうかも上の判断です」
そして、夕刊フジは掲載を見送ったものの、産経新聞は21日の朝刊で「西川農水相への寄付『脱法』追及 民主・玉木氏団体に280万円」という記事がでかでかと掲載されたのだ。
産経新聞の記者から掲載の連絡を受けた玉木議員は「違法性がないと認めたのに掲載するのはおかしいのではないか」と反論したが、産経の記者はとにかく 「上の判断で掲載することになりました」「社の方針です」と繰り返すばかり。では「個人的にはどう思うのか」と聞いたところ、「個人的には掲載する必要はないと思います」と言ったのだという。
いっておくが、これは産経新聞がたんにでっち上げをしたとか、「上」からのいいなりで事実でないことを書く記者にジャーナリストの資格がないというだけの話ではない。問題はなぜ、「上」からそういう指令がおりてきたのか、だ。
玉木議員はブログにこう書いている。
「取材に来た記者たちも、暗に自民党サイドからの情報提供および取材依頼であることを示唆した。(実は秘書が気をきかせて取材は全て録音している)」
そう。産経の報道は官邸=自民党が西川農水相の疑惑隠しのためにやらせたものだったのだ。実際、玉木議員が質問に立った19日夜、西川農水相が囲み取材で、「今日質疑に立った民主党議員の政治資金に関する記事が出るぞ」と記事掲載を予告する発言をしている。また、玉木議員によれば、「その直前、自民党国対から西川大臣に電話が入ったことも確認されている」という。
実は、昨年10月にも同様の動きがあった。小渕優子や松島みどりの「政治と金」が問題なった後、そのカウンターのように民主党の枝野幸男幹事長、福山哲郎政調会長、大畠章宏前幹事長、近藤洋介衆院議員、さらには維新の党の江田憲司共同代表などの政治資金収支報告書記載漏れ、不正が一斉に報道されたのだ。