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後藤さん殺害でも安倍批判禁止のテレビ各局…対イスラム国戦争参加を煽る番組も!

 こうした空気は後藤さんが殺害された後、さらにエスカレートしている。

 殺害の一報がもたらされた直後、『新報道2001』(フジテレビ系)では小野寺五典自民党政調会長代理や元産経記者でタカ派ジャーナリストの古森義久などを登場させ、「イスラム国の声明は宣戦布告と受け取るべきだ」「日本は団結すべき」「憲法9条のせいで愛するものを守れなくてもいいのか」などと、対イスラム戦争への参加を煽るコメントを次々と繰り出した。

 また、『サンデースクランブル』(テレ朝系)では元外務官僚出身の評論家・宮家邦彦が登場し、下平アナが「安倍首相の支援の発言による影響が…」と口にしたとたんに、激しい口調で「ない。ないです」と打ち消し。それ以上の言葉を続けさせないようにして「安倍首相が何を言おうが、こう言った事態は起こった」と断言した。

 そのうえで「今回の事件で(テロが)我が身に降り掛かるという意識をもつべき。これまでの安全保障を見直す必要がある」「日本の9.11ですから、いまこそ日本全体が団結することが必要」などとまさに9・11のアフガン戦争前夜のアメリカような危機を煽るコメントを発した。

『バンキシャ!』(日本テレビ系)は安倍首相のフォロー大会のようだった。伊佐治健・日本テレビ政治部長が「安倍首相が中東訪問時にこうした事態に発展するのかというシミュレーションができていたのか」と疑問を呈すると、すかさず司会の福澤朗が「安倍首相も大変だったのでは」とフォロー、さらに東京外国語大の青山弘之も安倍首相がイスラエルの旗の前で演説していたことについて「問題視する意見もあったが、イスラエルとイスラム国はそんなに緊迫した関係じゃない。その指摘は違うのでは」とかばった。

『Mr.サンデー』(フジ系)も人質交渉失敗にかんする日本の責任を問うシーンは一切なく、テロとどう戦うかという視点のみ。コメンテーターの「ニューズウィーク日本版」元編集長・竹田圭吾も「日本は毅然とした対応をした。今回の件を敗北ととらえるかは慎重でなければならない」と安倍政権を擁護した。

 唖然としたのはNHKの『ニュース7』だ。何しろ、安倍政権の対応を「政府は全力を尽くした」とした上で、「国家安全保障会議(日本版NSC)が発足し、世界の情報が集まった」と評価したのである。周知のように国家安全保障会議が開かれたのは人質事件が発覚してから3日後、最初の身代金要求の支払期限直前の23日で、設置の遅さに疑問を呈する声もあった。それをNHKは「情報が集まった」などと評価したのである。もはやNHKはただの安倍政権の宣伝機関と化したといっていいだろう。

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