右派政治をリードしてきた大物「伝統保守」政治家がネトウヨに尻尾をふる“頽廃”
★第4位 平沼赳夫(次世代の党/岡山3区)
次世代の党の党首である平沼赳夫氏だが、自民党時代は安倍首相の盟友でもあり、党内極右政治家たちのボスとして君臨していた。拉致議連の会長をつとめ、かなり以前から、憲法改正(自主憲法制定)、大東亜戦争肯定、従軍慰安婦否定を声高に叫び続けてきたことで知られる。そういう意味では、まさに今日のヘイト・極右世論をつくりだした張本人のひとりと言っていいだろう。しかし、当時の平沼本人には伝統保守としての重みもあったし、他のタカ派政治家のようにいわゆる暴言を吐くこともあまりなかった。
ところが、小泉郵政解散で自民党を離脱した後、民主党政権ができたあたりから、その平沼氏がどんどんトンデモになっていく。たとえば、10年には、政治資金パーティーのあいさつで民主党の事業仕分けを批判し、蓮舫参議院議員について「元々日本人じゃない」「帰化して日本の国会議員になって、事業仕分けでそんなことを言っている。そんな政治でいいのか」と差別丸出しの発言をして大顰蹙をかった。
そして、石原慎太郎とともに次世代の党を立ち上げて以降は、もはや本人がネトウヨと化している状態だ。何しろ、在特会やネトウヨが叫んでいる「在日特権」なる妄想をそのまま党の公約に持ち込み、外国人の特別永住制度の見直し、生活保護打ち切りなどを叫び始めたのだ。
しかも、その拡散方法が相当に怪しい。次世代の党の「タブーブタのウタ♪」という公式アニメPVをご存知だろうか。ブタのキャラクターがこんな歌を歌うのだ。
〈なぜだブー! なぜタブー? 日本の生活保護なのに 日本国民なぜ少ない 僕らの税金つかうのに 外国人なぜ8倍〉
日本の伝統を守れとか言いながらこういうバッドセンスのキャラクターをもちだす神経はどうかと思うが、平沼氏自身も今回の選挙戦の第一声で以下のように語っている。
「国中を見回していますと、いろいろ不都合なことがあります。例えば、外国人に生活保護費が非常に多くいっています。(略)外国人、日本に生活している外国人では1000人あたり147人にその生活保護費がいっています。じゃあ、日本人にはどのぐらいの比率かというと、日本人の場合には1000人の中でたった17人しかいっていない」
つまり、「生活保護受給率は在日外国人が14.7%、日本国籍所有者が1.7%」と主張しているようだが、いったい何を根拠にこんな数字を言っているのか。NPO法人POSSEの事務局長・川村遼平氏は、ツイッターで、総務省統計では外国人保護率は5.34%(11年)だと示した上で、以下のように反論している。
〈なお試算では、高齢化のため保護率が上昇している韓国・朝鮮籍に限っても、世帯での割合は6.38%(2010年)です。そして日本の被保護世帯の割合は同じ2010年で3.23%です。どう転んでも8倍にはなりません。〉