一方で、「産め働け育てろプレッシャー」も深刻だ。「育休世代」が就職をし始めた2000年代には、高齢出産のリスクや不妊の実情が浮き彫りになった時期であり、自ずと人生設計を前倒しにする人も少なくなかったはず。出産し、復職を願おうにも、女性の多くはを親(子どもにとっての祖父母)に預けることを嫌がる。そこには、親の体力を心配する思いや親世代との子育て観の違いなどもあるが、「自立したい」という気持ちが大きな割合を占める。そうなると、子育てと仕事の両立には保育園が不可欠なのだが、待機児童問題のように入園前にも問題が山積みだ。仮に入園したとしても、長時間子どもを預けることへの罪悪感や、子どもと離れている時間と仕事におけるやりがいのアンバランスなど、いくつもの精神的な重荷がのしかかってくるのだ。
この2つのプレッシャーに押しつぶされ板挟みとなり、結果として職を手放す、または閑職を受け入れる女性も少なくない。問題解決として、企業が制度から漏れ出ている問題をどのように受け止め、解決に導けるか。男性の育児参加や社会の母性神話からの脱却、母親自身が「理想の母親像」を打ち捨てることが求められるが、現実はそう簡単には進まない。
(江崎理生)
最終更新:2018.10.18 03:16