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憑依、守護霊、前世にUFO…東大医学部教授のオカルトがとまらない

「友人に、昨年九月、私の弟が亡くなる前後から、いろいろ相談していたんですが、正確に先を予言していくんです。弟は十七歳年下の妻と二人だけで、子どもがいませんでしたが、死ぬことは何とも思っていなかったようです。(略)その友人、仮にAさんとしておきますと、Aさんが『この人は、亡くなって、ほぼ一週間くらいで、奥さんの守護霊となって動き出すだろう。普通、守護霊というものは、配偶者レベルだと、だいたい生きていた人がすぐにある人の守護霊として働くことは、あまりない。(略)そして、奥さんが彼とコミュニケーションできるようになるだろう』ということを予言したんです。そしたら、本当に今、そうなってしまったようです。もちろん、彼の妻には伝えていません」(『未来のための日本の処方箋』)

「(守護霊になった彼と)コミュニケーションできるようになる奥さん」にはその予言の内容については確認していないようなのだが、それ以後、矢作センセイはこの友人(Aさん)を盲信するようになったようだ。『「あの世」の準備、できていますか?』でも、そのAさんについて語っている。

「私も過去生についてはポツンポツンと記憶があるのですが、その友人は、もっと具体的に、この人とは何年間に何回会って、その時どういう関係で、とそこまでわかるんです」
「(その友人は)神事をやっているので、見えないけれど、大きい仕事をしているんです。つまり守護霊団が我々とは桁違いなので(略)守護霊団というのがわかりにくいかもしれませんが、彼の周りにもうひとつ、国を守る守護霊団があるようです」
 
 国を守る守護霊団とは、どえらいスケールになってきたが、結局、矢作センセイのオカルトには常に親族の死がついてまわっている。母親の死をきっかけにオカルトに目覚め、弟の死をきっかけに憑依や霊障へとその“信仰”をエスカレートさせていった。そこには、東大教授としての知性も、“科学の本質”のひとつであるはずの批判的視点もまったく感じられない。そういう意味では、人間が弱ったときにどうオカルトにつけこまれるかをセンセイが体現しているといってもいいだろう。

 しかし、矢作センセイが問題なのはただ、個人的にオカルトにすがっただけではないことだ。センセイのオカルト信仰は数多くの本になって出版され、多くの読者に読まれている。しかも、それがただのオカルト本では絶対にありえないような売れ行きを見せているのは「東大医学部教授」「附属病院救急部・集中治療部部長」というブランドによるところが大きい。個人がどんな思想をもとうと自由だが、東大医学部教授という肩書きを利用してそのオカルト信仰を広めようとするのは職業倫理上、問題があるといわざるをえない。
 
 そして、この責任は矢作直樹という人物を「救急部・集中治療部部長」という要職につけている東大付属病院にもある。考えてみてほしい。救急・救命治療というのは、まさに命の危険にさらされた患者たちが助けを求めてやってくる場所なのだ。その責任者に「私たちの本質は肉体ではなく魂ですから」などとうそぶく医師が就いていたとしたら、あなたはそんな病院のことを信用できるだろうか。
 
 東京大学医学部は一刻も早く、矢作センセイの処遇を考えるべきではないか。
(小石川シンイチ)

最終更新:2015.01.19 05:34

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