今回の朝日広告拒否を批判的に報じている読売新聞などは、まさにその常習犯だ。例えば、読売は2000年、突如、「週刊現代」の広告掲載拒否を発表し、それから数年にわたって一切の広告を拒否し続けている。このとき、拒否の表向きの理由は「過激な性表現」だったが、同じようなセックス記事をやっている「週刊ポスト」は拒否されなかった。実はこの時期、「週刊現代」は読売の首領・渡辺恒雄会長批判や巨人軍選手と暴力団との関係を連続して報じており、それに対して怒った渡辺会長がツルの一言で「現代」の広告掲載を止めてしまったのである。
読売はそれ以外でも、自社への批判記事が載った週刊誌の広告はことごとく改ざんや拒否を通告している。
「はっきりいって、読売は朝日より自社批判への検閲が厳しい。批判どころか。渡辺会長の“ナベツネ”という言葉を使っただけでもNGをくらいます。読売は今回の池上彰の問題のような、原稿の掲載拒否トラブルもしょっちゅう起こしていますし、朝日と比べものにならないくらい言論の自由はない」(週刊誌関係者)
日経新聞も2003年、「週刊現代」が「日経新聞『社長解任』クーデター証拠文書を公開!」と報じた際に、広告でその見出しを真っ黒に塗りつぶさせたし、2012年には日経の社長と美人デスクの親密な関係を報じた「週刊文春」の広告を拒否して大きな問題になった。
また、日経の場合は自社への批判だけでなく、トヨタを批判した単行本『トヨタの闇』(渡邉正裕・林克明/ビジネス社)の書籍広告を拒否するなど、自社のスポンサー批判も検閲、広告拒否の対象になっている。
今回、広告拒否されたのが朝日の慰安婦問題を追及する記事だったことで、保守メデイアは“言論弾圧”“隠蔽体質”だと大合唱しているが、これは朝日固有の問題でなく、新聞全体が抱える体質なのである。
いや、新聞だけではない。実は今回、広告を拒否・改ざんされたことを声高に批判し、16頁にわたる朝日批判を展開している「週刊文春」もまた、過去において“自社批判封じ”の広告拒否、改ざん事件を引き起こしている。