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保険会社の社員が自分では入らない保険、自分でも入っている保険

「契約内容は(1)がんと診断された、(2)急性心筋梗塞または脳卒中で60日以上、所定の状態が続いた、(3)死亡した──のいずれかに該当した場合、200万円の保険金が支払われるというものでした」「結婚して、いちばんお金がなかったころに加入した保険でした。妻も働いており、子供もいないので、多額の死亡保険は必要ない。その代わり、大きな病気をしたり急死したりした際に一息つけるくらいのお金が支払われればいい、と考えて選んだ保障内容でした。また、65歳までに払い込む保険料の総額が約188万円なのに対し、65歳時点で受け取れる解約返戻金が158万円だったことも気に入っていました。貯蓄が苦手だった私は『158万円の返戻金があれば老後の医療保険やがん保険代わりにもなる。三大疾病の保障に加えてお金が残る契約は好ましい』と評価していたわけです」(同書より)

 ただし、貯蓄もできて「200万円位のお金なら何とかなる」と判断したために解約をしたのだ。

「実際に老後に使うことを考えているお金であれば、確定拠出年金で積み立てていく方が節税効果が大きい分、断然有利です」「もちろん、明日にでもがんと診断される確率はゼロではないわけですから、いつかこの保険を解約したことを悔やむ結果になるかもしれません。ただ、70歳までにがんにかかる確率は20%未満です。50代の間に限ると8%にも満たないのです」(同書より)

「保険より貯蓄(なかでも確定拠出年金)」というスタンスの後田氏。ただし、条件が変われば入っておきたい保険もあるという。

「仮に子供がいたら、子供が社会人になるまで万が一に備える『就業保障保険』に入っておきたいと思います。また、いまよりもう少し収入が高ければ、『就業不能保険』も検討したいところです」(同書より)

 なお、保険会社の人たちは「団体保険」を愛用していて、自社がセールスする保険には入っていないのだという。「団体保険」は会社単位で保険会社と契約する保険で、営業担当者や代理店の手数料率が低いために、一定期間の死亡保障を格安で確保できるのだ。

「団体保険には保障機能が1~2種類程度しかないので、特別な知識がなくても容易に内容を把握することができます」。しかし「団体保険のようにシンプルな内容では価格競争が避けられなくなるので、商品を複雑にして、高コストを吸収できる価格設定にしているのではないでしょうか」(同書より)

 保険外交員には保険会社の人しか入れない「団体保険」をセールスしてもらいたいものだ。
(小石川シンイチ)

最終更新:2018.10.18 01:45

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