小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

福島県沖地震でまた朝鮮人差別デマが 差別批判や通報の動きに「ネタ」「パロディ」と反論する差別加担の動きも

福島沖地震でまた朝鮮人差別デマが 差別批判や通報の動きに「ネタ」「パロディ」と反論する差別加担の動きもの画像1
『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹/ころから)


 きのう13日夜23時8分ごろ、東北地方で最大震度6強の地震があり、宮城県、福島県、茨城県など100人を超える負傷者が出ている。しばらく、同規模地震が起きる可能性があるとして、気象庁は注意を呼びかけている。地震そのものにも引き続き注意が必要だが、今回の地震をめぐってネットではもうひとつ危険な事態が起きている。

 昨晩の地震発生直後から、SNSでは、引用するのもはばかられるような極めて悪質な差別デマが飛び交っているのだ。

〈朝鮮人が福島の井戸に毒を入れているのを見ました!〉
〈BLMが井戸に毒を投げ込んでる!!!!!〉
〈こういう災害には必ず奴ら(特定アジア)が何かやるんだな。関東大震災以来ずっと…〉
〈バカ朝鮮人どもが喜んでるんやろな〉
〈災害に乗じた空き巣等の犯罪に注意。都心の外国人の多い地域は、特に戸締まり用心、火の用心。〉

 言うまでもないが、これらのツイートはいずれも完全なデマである。2016年の熊本地震、2018年の大阪地震など、近年、災害が起きるたびに、外国人と犯罪を結びつける投稿が多数投稿されるようになっているが、上述したものは一例で今回も数多くの差別デマが投稿されている。

 こうしたツイートには、心ある人々が、差別デマとしてtwitter社に通報しているが、その差別への抗議活動に対しても攻撃が加えられている。通報した人のことを「通報扇動」「通報のほうが差別」と非難したり、「ただのネタなのに」「ジョーク」「ただのパロディ」などと冷笑しながら差別行為を肯定する投稿が多数寄せられているのだ。

 命に関わる状況での醜悪な差別ツイートが、それに対する批判を差別と同列扱いしたり、醜悪な差別を「ネタ」「パロディ」「ジョーク」などと言い張るとは、いったいどういう神経をしているのか。

 だいたい、こうした差別デマが「ネタ」「ジョーク」などですまされないことは、関東大震災発生時のデマが朝鮮人虐殺を引き起こしたことからも、明らかではないか。1923年9月、マグニチュード7.9の大地震発生直後の数日間で、「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒をいれた」「放火している」等のデマが広がり、日本人らによる大規模な朝鮮人のジェノサイドがおこなわれた。そうしたことが2度と行われないように、戦後、その反省が語り継がれてきたのではなかったか。

 しかし、考えてみれば、こうした差別デマが跋扈するのはある意味当然の流れともいえる。近年は戦前戦中の日本の悪行をすべてなかったことにする歴史修正主義が跋扈し、関東大震災の朝鮮人虐殺を否定する言説までが大声で語られるようになっている。

 そして、震災のたびに、関東大震災のときとまったく同じ「朝鮮人が毒を入れた」「略奪行為をしている」といった差別デマがばらまかれるようになった。

 今回、差別デマへの注意を呼びかけている津田大介氏が、呼びかけを揶揄する者に応じる形で〈10年前のツイッターはこんなにベタな差別煽動はあふれてなかったので、必要な対応と思ってやっているだけです。〉とツイートしていたが、その通りだろう。

 このような差別デマを放置したら、そのうち、関東大震災のときと同じようなジェノサイドが起きかねない。

 そうした事態を止めるためには、政府やマスコミ、twitter社に対してこうした差別デマを否定する声明を求めていくのはもちろん、いま一度、歴史修正主義によって否定されようとしている関東大震災で起きた朝鮮人虐殺という歴史的事実を振り返る必要があるのではないか。

 たとえば、『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹/ころから)には、震災当時の虐殺を目撃した市井のひとたちの証言や、公式・私的を問わない数多の記録が詳細に取り上げられている。

 この本を紹介したリテラ の記事を以下に再録するので、あらためて、関東大震災と“朝鮮人虐殺”に直面した人たちの声に耳をすませ、史実を直視してほしい。
 (編集部)

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する