東京都庁広報課Twitterより
9日、東京都の新型コロナウイルス感染者が新たに224人確認されたと発表した。1日当たりの感染者数では緊急事態宣言下の4月17日の206人を上回り、これまでで最多だ。
しかし、小池百合子・東京都知事は相変わらずだった。数字がまだ正式に発表されていない午前のぶら下がりでは、「かなり多い」と予告した上、7日前後に新宿区の集団検査を受けた人が多かったと、いつもながらの「夜の街」を示唆。そして、午後の会見では、これまで最大だった4月17日と比べて、検査数が大幅に増えたことを強調したのだ。
「ご承知のように陽性者数過去最大で224名ということになりました。かつて4月17日に出した206人というのが陽性者数最大でございましたが、そのときの検査数が919件、今回、224人の陽性者数を出したのは、検査が3400件にのぼっているということで、3.4倍以上ということになります」
「30代以下、82%という数字ですから、若い方が感染しているということには変わりがない」
さらに、幹事社の記者から、どういう対策を考えているのかと質問を受けても、こう繰り返した。
「検査が今回は3400件のうちの224人の陽性者。いま私ども東京都が検査体制をさらに拡充しようとしております。現時点で6500件、1日ですね、これを1万人までもっていくための拡充策を今回の補正予算にも盛り込んでおります。ですから、陽性者が今後増えることも十分考えられます。一方で、昨日の時点までですけど、東京都での重症者が6名にとどまっている。そしてまた、この2週間、死亡例はございません」
ようするに、小池知事は「夜の街」で集団検査をやった結果、検査数が大幅に増えたから感染者も増えただけで、重症者も少なく死亡者もいないのだから、本格的な対策をする必要がない、と言っているのだ。
しかし、224人の感染者というのは本当に、検査数が増えた結果というだけなのか。たしかに9日の陽性者数に反映されたと思われる6日の東京都の検査件数は3406件と過去最高だ。しかし、それまでと比べて2倍、3倍と大幅に増えているわけではない。東京都は6月8日頃から検査数を増やし、その週にすでに1日あたり1800〜2400件の検査を実施していた(土日を除く)。当時と比べると、6日の検査数は多く見積もっても、1.5倍である。
一方、感染者数は6月11〜17日の1日あたりの速報値が最小16人で最大48人であるのに対し、7月9日は244人。つまり検査数は1.5倍にすぎないのに、感染者数が5倍から15倍に跳ね上がっているのだ。
しかも、小池知事は「夜の街の集団検査」のせいにするが、実際は「夜の街」以外にもどんどん感染が拡大している。それを証明しているのが感染経路不明者だ。前述してきたように今日の感染者数は224人だが、そのうち感染経路不明者は半分近い104人にのぼっている。これは今日だけの現象ではない。速報値で感染者が100人を超えた7月2日以降の感染者数(速報値)と経路不明者の数をあげてみよう。
7月2日 新規感染者107人 経路不明者45人
7月3日 新規感染者124人 経路不明者40人
7月4日 新規感染者131人 経路不明者46人
7月5日 新規感染者111人 経路不明者53人
7月6日 新規感染者102人 経路不明者42人
7月7日 新規感染者106人 経路不明者47人
7月8日 新規感染者 75人 経路不明者34人