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NHKが英語民間試験批判のウェブ記事を削除、社会部を緊急招集し自粛要請! 安倍政権が「桜を見る会」追及のウェブを標的に圧力か

NHKのネット同時配信を認めるのと引き換えに、政権批判に踏み込むウェブ記事潰しを指示か

 しかし、安倍政権は、たんに今回の英語民間試験批判のウェブ記事を潰すことだけを狙って、圧力をかけているわけではない。安倍政権の標的は、いまのNHKのウェブ報道体制そのものを潰すことなのだ。

「11月20日に、安倍首相と各社政治部キャップとの“オフレコ懇談会”が開かれ、同席した今井尚哉首相秘書官が、『桜を見る会』問題を追及したNHKのウェブ記事をあげつらい、恫喝したことが報じられたが、安倍官邸はウェブ記事の踏み込んだ姿勢に相当頭にきている。今回の『霞が関のリアル』への圧力は大義名分で、それを突破口にウェブ記事全体に圧力をかけようとしているのではないか」(政界関係者)

 安倍政権はこの間、NHK側が今まで以上に政権の意向を反映するような体制を着々と作らせていた。たとえば先日発表された会長人事。上田良一会長が退任し、後任には安倍政権に近い前田晃伸・元みずほフィナンシャルグループ会長が就く。現在の上田会長は、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」などと公言していた前任の籾井数人会長が猛批判されたことを受け止め、籾井時代よりも政権批判報道への締め付けを緩めていた。その上田会長を退任させ、安倍首相を後押しする経済人による「四季の会」の元メンバーである前田氏を新会長に据える人事は、あきらに官邸の意向にもとづくものだ。

 さらにNHKは今年4月、あの板野裕爾・NHKエンタープライズ社長を専務理事に復帰させている。板野氏は『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスターを降板させた張本人といわれる人物だ。2016年に刊行された『安倍政治と言論統制』(金曜日)では、板野氏の背後に官邸のある人物の存在があると指摘し、NHK幹部職員は〈板野のカウンターパートは杉田和博官房副長官〉〈ダイレクトに官邸からの指示が板野を通じて伝えられるようになっていった〉と証言をおこなっている。

 こうした人事からもわかるように、官邸は再びNHKに対する締め付けを強化しようとしており、NHK上層部もそうした官邸の意向を忖度している。今回の社会部ウェブ記事をめぐる「圧力」も同一線上にあるのは間違いない。

 さらに言えば、NHKが打ち出しているインターネット常時同時配信との関係も指摘されている。ネット同時配信をめぐって、NHKはいまも、総務省や政界から揺さぶりをかけられているが、安倍政権はネット同時配信実施を認めるかわりに、NHKにウェブ版の踏み込んだ報道姿勢を潰すことをバーターに突きつけたのではないか、という見方が浮上しているのだ。

 実際、前述した11月20日の安倍首相と各社政治部キャップとの“オフレコ懇談会”でも今井秘書官は以下のように、「ネット同時配信」のことをちらつかせてNHKを恫喝していた。

「NHK報道はひどい。だから同時配信はだめだと言われる。1万1000円以上じゃなきゃ出来ないとホテルが言ったのを最初に報じたのもNHK」(「週刊新潮」12月5日号)

 いずれにしても、今回のNHK社会部の緊急部会で明らかになった上層部の忖度姿勢の背景には、安倍政権の存在があるとしか思えない。NHK社会部は放送では真っ当な調査報道や政権批判を潰されながらも、ギリギリのところでなんとか視聴者・読者にとって価値のある報道を続けようと、ウェブ記事に活路を見出していたが、それさえもこのまま潰されてしまうのか

 受信料や予算面で国にコントロールされている「みなさまの公共放送」だが、このまま政権の影響を受け続ければ、まっとうなジャーナリズムは万が一にも期待できなくなってしまうだ可能性もある。NHKに残されたわずかな良心を潰させないよう、視聴者は大きな声を上げなければならない。

最終更新:2019.12.25 05:08

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