酷暑、汚職、費用高騰、被災地復興の妨害…問題だらけの東京五輪の共犯はマスコミだ
しかもマスコミが東京五輪の抱える問題を放置しているのは、この酷暑問題に限ったことではない。招致をめぐる汚職疑惑、当初の7000億円から3兆円と膨れ上がる費用、過労死も相次ぐ建設現場での過重労働、ボランティアのブラック労働、五輪の影響で阻まれる被災地復興……。これだけ問題だらけの東京五輪をマスコミはまともに批判することなく、招致決定以来6年に渡って礼賛報道ばかりを繰り広げてきた。
なぜマスコミは酷暑問題をはじめ東京五輪の問題を批判せず放置してきたのか。それは、メディア自身が東京五輪利権共同体の一員だからだ。大手新聞社が軒並みスポンサーに名を連ね、テレビ局にいたっては、高額をつぎ込んで放映権を獲得しており、五輪ビジネスと完全に一体化しているのだ。
こうしたマスコミの姿勢はマラソン開催地変更という異例の事態が起きても、いまだ変わっていない。1日の東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、東京五輪・パラリンピック組織委員会、政府の4者協議では「他の競技の移転はしない」で合意したが、馬術や自転車などマラソン・競歩以外の屋外競技、水質汚染の指摘されるお台場の海で開かれるオープンウォータースイミング猛暑が続く9月はじめに行われる車椅子マラソンなども、開催地変更が検討されてしかるべきだ。しかし、ワイドショーはこの問題をまったく追及していない。その代わりに精を出しているのが、札幌ディスだ。
五輪を批判検証するというメディアの役割を捨てて、五輪でいかに金儲けするかという商売のことしか頭にないことがよくわかる。
アメリカの放映権収入目当てに8月・9月開催を動かせないIOCの商業主義を批判する向きもあるが、日本のメディアだって同じ穴のムジナなのだ。
本サイトは何度も繰り返し批判してきたが、あらためて言う。命にかかわるきわめて深刻な事態するまともに解決できない東京都や組織委員会。そして問題を追及することを放棄し札幌バッシングに走るようなマスコミ。そんな日本で、オリンピックなどやるべきではない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2019.11.03 08:22