『サタデージャーナル』は安倍政権の「不都合な事実をなかったことにする」姿勢を追及
上田の指摘はその通りだろう。もとより安倍政権においては、国会や与党内の議論を軽視し、選挙も経ず政府が恣意的に選んだだけの審議会や有識者会議を偏重していることが問題視されてきた。それが、今回の「2000万円」報告書騒動を機に、忖度がよりいっそう強くなるであろうことは火を見るより明らかで、審議会や有識者会議の信頼性はますます揺らぐことになるだろう。
番組ではさらに、安倍政権下で常態化している「国会軽視」「議論無視」、そして「事実隠蔽」の姿勢を厳しく追及した。
自民党の森山裕国対委員長は「この報告書はもうないわけですから、予算委員会ではなじまないと思います」と発言し、予算委員会での集中審議には応じられないとした。問題を「なかったこと」にして強引に話を終わらせようとするこういった姿勢に対し、番組では、ジャーナリストの龍崎孝氏が、このように語った。
「これは最近の安倍政権のなかでよく見られていることだと思うんですよね。不都合な事態があると、そのこと自体をなかったことにしてしまう。なかったことにしてしまうことによって、ないんだから議論する必要がない(となる)。森友学園のときもそうでしたけど、不正な助成がされているんじゃないかということが燃え盛ってくると、そもそも認可を取り消してしまう。だから、その助成はなくなるからこの問題は終わりですという逃げをするわけですよね。これは安倍政権の常套手段といっていいんじゃないかと思いますよね。もちろん、自分のやりたいことを成し遂げたいというのが政治ですから、それはいいんです。いいんですけど、みんながみんなそれを支持するわけじゃないから。だから、議論があって、修正があって、引くところは引いて、出直すところは出直す。そういう丁寧な、ある意味謙虚な作業が必要なのに、もう決めたことは譲らない。なぜか? 『選挙で勝ったから』みたいな、この理屈はですね、もう通じないですよね。それがまかり通っているところに、私たちも含めてもう少し考えなければいけないんだろうなと思います」
言うまでもなく、年金問題は放っておいたところで解決するものではない。
これまで「年金100年安心」などと喧伝してきたのは嘘で年金制度を現状維持できないというのであれば、事実を明らかにし、徹底して議論をおこなう必要がある。今後、少子高齢化の流れが止まる可能性はほぼゼロなのだから、これ以上先延ばしにはできないだろう。
しかし、安倍政権および自民党は、事実を明らかにすること、議論することから徹頭徹尾逃げ回ろうとしている。