渡邉事務局長の言い訳「ふと思ったことを言った」は完全に破綻している
だが、記者の質問が本題に移ると、さらにその言い訳は酷さを増した。渡邉事務局長は「『総理と加計理事長が会った』と嘘をついたのか?」と問われると、なぜかヘラヘラと笑みを浮かべながら、こう答えた。
「総理と理事長が面会をしたということについては、これはこちらのほうで、そういうことを言ったのかなということで、覚えてなかったんですね。県の方がああいう文書を、何もなく書くことはないということで、自分が思い出す範囲では、あのときにたぶん自分が言ったんだろうというふうに思います」
「その場の雰囲気というか、ふと思ったことをそのときに言ったんじゃないかなと思います」
何度でも言うが、渡邉事務局長が嘘をついたと言うのがほんとうなら、これは詐欺行為であって、ニヤニヤ・ヘラヘラと笑って話すようなことではない。しかも、「そういうことを言ったのか覚えてなかった」「自分が思い出す範囲」という、安倍首相や柳瀬唯夫・元首相秘書官と同様、証拠も何もない“あやふやな記憶”しかないのだ。
というか、それ以前にこの渡邉事務局長の言い訳は破綻している。安倍首相が「獣医大学いいね」と言ったと加計学園側が愛媛県に報告した2015年3月3日の打ち合せは、〈加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり〉(愛媛県新文書より)おこなわれたものなのだ。
つまり、面談がなかったとするなら、「ありもしない面談の報告をしたい」と加計学園側は申し入れたことになり、3月3日の打ち合わせは設定理由からして虚偽だったことになる。しかも渡邊事務局長は、理事長と安倍首相の面談を「その場の雰囲気で、ふと思ったこと」などと説明しているが、「その場でふと思ったこと」を一体どうやって事前に申し入れるというのか。もはや整合性をとる気があるのかすら疑わしい、「ご飯論法」以前のお粗末な言い訳だ。
しかも、この矛盾を記者に指摘されると、渡邉事務局長は「3年前のことなのでよくわからない」と言い出し、「それ以外にもいろいろな話し合いを結構している」と、またも回答をはぐらかしたのだ。
さらに、3月15日に加計学園側と今治市がおこなった協議の内容を記した愛媛県文書には、〈柳瀬首相秘書官と加計学園の協議日程について(2/25の学園理事長と総理との面会を受け、同秘書官から資料提出の指示あり)(学園)3/24(火)で最終調整中である〉と書いてある。2月25日に安倍首相と加計理事長が面談をおこなっていないとなれば、加計学園側はどうやって官邸での柳瀬首相秘書官との協議に漕ぎ着けたというのか。
しかし、やはりこの問題についても、渡邉事務局長は「柳瀬秘書官につきましても、どういうことを言って、どういうふうにアレしたかということは、まったく覚えておりません」としか返答できなかった。またしても、都合の悪い部分は記憶がないのだ。