京産大の大月元教授「安倍首相と加計理事長の仲は獣医界では有名」
さらに、大槻氏はこのように正直な思いを吐露したのだ。
「獣医界では安倍総理と加計さんが仲が良いのは有名な話です。しかし、この問題については、政治は関係ないと思っていたのです」
安倍首相と加計孝太郎理事長の仲は獣医界では有名だった──。大槻氏は「文科省や内閣府には相談に行きましたが、官邸に行くなんて発想は毛頭ありませんでした」とも述べていたが、首相と昵懇の大学だったからこそ官邸で面談を3回も実現できたし、何のつながりもない大学にとっては、そんなことは考えもしない話だったのである。
それどころか、京産大と京都府が国家戦略特区に手を挙げた2016年3月の2カ月前、府の職員らと大槻氏が内閣府を訪ねた際、ひどい言葉まで投げつけられているのだ。大槻氏はこう証言している。
「個人的な印象ですが、歓迎という雰囲気ではありませんでした。藤原豊・地方創生推進室次長(当時)から「今治は前から一生懸命やっているのに、後から出てきて。どうしてもっと早くやらなかったのだ」といった趣旨のことを言われました」(朝日新聞デジタル4月13日付)
愛媛県文書でもあきらかになったように、政府が国家戦略特区での獣医学部新設を検討する方針を示す2カ月も前に、藤原次長は加計側に「政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい」「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」などとバックアップを約束し、懇切丁寧なアドバイスまでおこなっていた。それなのに、独自に入念な準備と実績を重ねてきた京産大と京都府には「後から出てきて」と突き放していたのである。──これこそを、「行政が歪められていた」と言うべきだろう。
だが、こうしたなかで声をあげているのは大槻氏だけではない。柳瀬氏の答弁を「誠心誠意すべての真実を語らないというのが印象だ」と看破したのは、愛媛県の中村時広知事だ。