改ざんは近畿財務局職員や佐川前理財局長ら「個人」がやったことではない
自殺した近畿財務局職員が遺したメモには、「決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられた」「勝手にやったのではなく財務省からの指示があった」「このままでは自分1人の責任にされてしまう」「冷たい」などという言葉が綴られ、生前には親族に「常識が壊された」と語っていたことがわかっている。
そして、近畿財務局に文書改ざんを命じたのは財務省理財局だ。にもかかわらず、その財務省のトップである麻生大臣は「理財局の職員の一部によっておこなわれた」などと責任をすべて部下に押し付け、何かあると「佐川」「佐川」と呼び捨てで連発し、佐川宣寿・前理財局長が主犯であるかのように印象付けた。そこに批判があがると、“麻生財務相が財務省職員の名前に敬称を付けずに呼ぶことは通常”などという答弁書を閣議決定した。
その上、3月末には「森友のほうがTPP11より重大だと考えているのが日本のレベル」などと報道を批判。一方、いまだ調査結果も公表されず、決裁文書そのもののコピーは1通しか出されていないという状態に陥っている。
もちろん、森友問題は財務省という組織だけの問題ではなく、本サイトが何度も追及してきたように、土地取引から文書改ざんにいたるまで、「安倍首相の懐刀」と呼ばれる今井尚哉首相秘書官を筆頭とする官邸の指示があったことは疑いようがない。しかし、そうした「膿」の本丸に辿り着く以前に、国民の財産たる公文書を改ざんした事実を認めた大臣がいまなおその座に居座っているという時点で、真相究明などできるはずがないのだ。
そうしたなかで飛び出した、「どの組織だって改ざんはありえる」「改ざんは個人の問題」という発言──。セクハラ問題とそれにかかわる暴言の連発とあわせて、このような「資質」をもった人物が大臣と副総理を務めることこそが大問題だろう。
(編集部)
最終更新:2018.05.08 08:04