安倍首相の盟友・八木を代表にしたのは官僚の忖度で検定合格するためか
ようは、八木氏は自分たちで道徳教育の旗振りをしながら、一方で、自ら教科書会社の代表に収まり、道徳教科書の検定に参入しようとしていたのである。
これはどう見ても、お手盛りではないか。それどころか、日本教科書社には加計学園と同様の疑惑さえ浮かび上がってくる。
つまり、日本教科書社は安部首相と“アベ友”八木氏が率いる極右勢力が自分たちの息のかかった教科書をねじこみ、官僚の忖度で検定を合格させようと立ち上げたプロジェクトだったのではないか、という疑惑だ。
実際、ある時期までは八木氏はかなり露骨な動きをしていた。日本教科書株式会社の代表であったことはもちろん、昨年8月には参議院議員会館で開かれた「草莽全国地方議員の会夏季研修会」で「道徳の教科化の意義と教科書採択の課題」と題して講演。新潟県柏崎市議会議員・三井田孝欧氏がブログでその講演の要約を書いているのだが、そこには〈日本教科書株式会社版中学道徳教科書への期待〉という一文があった。
中学の道徳教科書検定の申請期間は、2017年4月24日に始まり、同月27日に締め切られている。おそらく、検定の申請前から申請までは、誰もが安倍首相のブレーンだということを知っている八木氏の存在を前面に出し、官僚に忖度をさせようという作戦だったのではないか。ただし、検定に合格した際、八木氏がその教科書出版社の代表を務めていると、「お手盛り」という批判を受ける可能性がある。そこで、この教科書作りを資金や環境面でサポートしてきた晋遊舎の武田会長が八木氏に代わって日本教科書社の代表取締役に就任したということではないのか。
いや、もしかしたら、当初は最後まで八木氏が代表を務める予定だったのが、加計学園問題などで“アベ友優遇”批判が激しくなったため、慌てて代表を交代したのかもしれない。
ちなみに、晋遊舎の武田会長は昨年4月21日付けで日本教科書社の取締役となっているが、これは文科省による教科書検定の申請が始まる3日前というタイミングだ。そして、前述したとおり同年9月1日に八木氏にかわって代表取締役に就任しているが、まさに、加計問題追及が最高潮に達していたさなかのことである。
晋遊舎の武田会長は「日本会議のメンバー」という情報もあり、八木氏とも旧知の関係だった可能性もあるが、いずれにしても、ある時期、八木氏─武田会長のコンビでこの日本教科書社を仕切っていたのは間違いない。そのあとに、なんらかの理由で八木氏の存在が表から消えてしまったのだ。
しかし、“八木隠し”のためだったとしても、ヘイト本、児童レイプマンガを出版していた出版社の代表を道徳教科書出版の代表にしてしまうとは……。「道徳」の必要性をわめいている極右歴史修正主義者たちの脳みそはいったいどうなっているのか。いずれにせよ、この日本教科書株式会社の問題は、「道徳教育」とはいったいなんなのかという問題にも重なってくる。本サイトは引き続き調査していく予定だ。
(編集部)
最終更新:2018.03.28 01:59