はすみとしこの差別イラストを百田尚樹、杉田水脈、長尾敬が支持
少なくとも、はすみのイラストは、「枕営業失敗!!」という文言などから、詩織さんの社会的信用を低下させようと企図されたものであることは自明だが、冒頭でも少し触れたように、そのイラストを拡散することは彼女の思う壺だろう。
はすみといえば、周知の通り、2015年9月、難民の少女をモチーフにしたイラストに「他人の金で。そうだ、難民しよう」などと添えてFacebookに投稿。そのグロテスクな差別扇動に批判が殺到したが、さらにシリア難民の少女をモデルにした写真を無断使用していたことも発覚し国際問題に発展した。しかし、はすみはその後も胸元を強調した帰化女性の悪意あるイラストを投稿するなど、反省の色を微塵も見せなかった。
むしろ、はすみはこうした批判・炎上を契機に、デビュー作『そうだ難民しよう! はすみとしこの世界』(青林堂)の出版にこぎつけ、ネット右翼から強い支持を得た。ようするにヘイトを商業化したわけで、その悪意こそが彼女の“食い扶持”を支えているわけだが、さらに、はすみは極右文化人とも交流し、あろうことか、国会議員との絡みまで見せている。
たとえば作家の百田尚樹だ。百田は、はすみの著書『それでも反日してみたい はすみとしこの世界』(青林堂)の帯に、〈パヨクの天敵、はすみとしこが描く!〉という惹句を寄せており、また、昨年出したヘイト本『今こそ、韓国に謝ろう!』(飛鳥新社)では、はすみが挿絵を担当している。
政治家では、昨年の衆院選で自民党から出馬し当選した安部首相の肝いりの杉田水脈衆院議員。杉田はこれまでもヘイトスピーチを連発してきた極右ヘイト議員だが、はすみは杉田のイラストを公開するなどその当選運動に参加。杉田もブログやTwitterで、はすみに謝辞や誕生日祝いのメッセージを送るなど昵懇の仲だ。
また、あの『報道特注』で知られる番組配信メディア「文化人放送局」が手がけるネット番組『日本の病巣を斬る!』でも、はすみと杉田は仲良く共演している。この『日本の病巣を斬る!』には、最近の2月13日収録回で自民党の長尾敬衆院議員も参加した。長尾といえば、例の「泉放送制作デマ」のフェイクニュースを拡散するなど、こちらも筋金入りのネトウヨ議員だ。
同回で杉田は、BBCから日本の「#MeToo」運動について取材を受けたとして、詩織さんと山口氏の事件についてこのように語っている。
「私はああいう人(詩織さん)がいるおかげで、本当にひどいレイプ被害に遭っている人たちのことが、おろそかになってしまうんじゃないかっていうようなことをね、(BBCに)言いました」
いったい、この政治家は海外メディアに何を言っているのだろうと呆れるが、さらに杉田から「これね長尾先生、国会でやるでしょ?」と振られた長尾も「ハハハ、これね(笑)。おかしいよね」と吐き捨てながら同調。おかしいのはコイツらである。しかも長尾は会社員時代に「60代ぐらいの女性はしょっちゅう抱きついていた」などと笑みを浮かべて語り、「だんだんスキンシップの仕方が変わってきて、相手次第でゾッとするようなやりとりになるっていうのは世知辛い」「受けている側の恣意的なことで全部それが進んでいきますから法的に」などとセクハラの正当化とも受け取れる問題発言まで繰り出していた。
いずれにしても、はすみとしこの悪意あるイラストは、彼女個人の問題ではないのだ。与党の政治家までもが、はすみのようなヘイト漫画家に同調しているという事実を重く受けとめなければ、人々が性犯罪に苦しむ社会を変えることなどできないのは間違いない。
(小杉みすず)
最終更新:2020.06.08 09:03