はすみのイラストは山口敬之が「Hanada」で書いた嘘弁明のコピー
しかも山口氏は「Hanada」で触れていないが、詩織さんはベッドから抜け出した直後の行動をこう振り返っている。
〈ようやくベッドからぬけだした私は、パニックで頭が真っ白になったまま、部屋のあちこちに散乱していた服を拾いながら、身に引き寄せた。下着が見つからなかった。返すように言ったが、山口氏は動かなかった。どうしても見つからなかったブラは、山口氏の開いたスーツケースの上にあった。一向にパンツは見つからなかった。すると、山口氏は、
「パンツぐらいお土産にさせてよ」
と言った。
それを聞いた私は全身の力が抜けて崩れ落ち、ペタンと床に座り込んだ。体を支えていることができず、目の前にあったもう一つのベッドにもたれて、身を隠した。〉(『Black Box』)
おぞましいとしか言いようがない。繰り返すが、着る服がない状態で衣類を求めるのは当たり前の行動だ。にもかかわらず、Tシャツを貸してそれを詩織さんが着用して部屋を出ていっただけで、山口氏は〈あなたの強い被害者意識は最初からあったのではなく、あとから時間をかけて醸成されたものということになります〉(「Hanada」)などと主張しているのだ。詭弁にもほどがある。
はすみのイラストで、詩織さんを模した女性が“山口”と記されたTシャツを着用しているのは、まさにこの山口氏の詭弁をトレースしたものだろう。そして、こうしたイラストの構成要素は「枕営業」なるシナリオを捏造し、詩織さんを誹謗する意図のもと用いられたと解釈するのが自然だ。
つまるところ、はすみによる今回の悪質なイラストは、そのシナリオや道具立てから見ても、明らかに山口氏の主張を“コピー”したものとしか考えようがない。したがって、そこに現れている悪意は、まさに山口氏のそれが“可視化”されたものである。そう言っても過言ではないだろう。
事実、山口氏は「Hanada」で「枕営業」という言葉こそ使っていないものの、わざわざ「ワシントンでの仕事への強い執着」と章立てをして、〈執拗な要求〉〈繰り返しメールを送りつけています〉〈強い要望〉〈ワシントンで仕事をしたいという熱情は並大抵ではなかったことは明らか〉などと強調。さらに〈そして何より、性暴力の被害者ではないあなたが、自分でもそうではないと密かに知りながら、表向き性犯罪被害者を標榜して生きることは、本当の性犯罪被害者のみならず、他ならぬあなた自身を貶めることになる〉と締めている。あらためて言葉を失うではないか。