小野寺防衛相の発言は米軍オスプレイ墜落を「不時着」としたときと同じ
その後、午後6時20分すぎにおこなわれた記者取材では、小野寺防衛相も「民家に墜落したということは申し訳なく、重く受け止めている」と「墜落」を認めたが、小野寺防衛相は事故映像を見てもなお「着陸、炎上」「落着」などと表現することで姑息にも過大事故であることを覆い隠そうとしていたのである。
2016年12月に沖縄県名護市の海岸に米軍のオスプレイが「墜落」した際も、当時の稲田朋美防衛相および防衛省は「不時着」「不時着水」と強調し、昨年10月の東村高江の民間地で米軍機が炎上したときも、小野寺防衛相は「着陸した際、火を吹いた」などと発言するなど、事故を矮小化しようと必死だったが、今回の自衛隊ヘリの墜落も同じなのだ。
しかも、事故が起こった場所が佐賀県だということも安倍政権に打撃を与えている。というのも、佐賀では佐賀空港に陸自のオスプレイを配備する計画が進んでおり、昨年7月に県議会は配備計画を受け入れることを求める決議案を可決。菅義偉官房長官も「非常に大きな前進」と大喜び。同年12月には佐賀市議会も県議会につづいて容認決議案を可決している。
だが、今回の事故によって、このオスプレイ配備に向けた動きに県民からストップがかかる可能性は高い。そのため、小野寺防衛相も当初の過大事故であることを認めようとしなかった姿勢から一転、安倍首相は県民の反発を恐れて同型機ヘリの飛行停止の指示を出したのだ。沖縄では米軍機の事故が多発しても「飛行停止」を一切口にしないのに、である。
安倍首相は名護市長選を睨んで、松本文明内閣府副大臣の「何人死んだんだ」という暴言ヤジに素早く辞表を提出させたが、今回も佐賀空港へのオスプレイ配備を進めるため、県民感情を刺激しない姿勢を取るだろう。しかし、オスプレイが危険機種であることは違いなく、今回のような悲惨な事故が再び起こる可能性はあるのだ。
(編集部)
最終更新:2018.02.06 05:31