首相官邸ホームページより
やっぱりか。韓国の文在寅大統領が慰安婦問題をめぐる日韓合意を見直すアクションを見せ始めたとたん、敵意むき出しで平昌五輪開会式欠席の方針をちらつかせていた安倍首相だが、きょう一転して出席を表明した。
本サイトはすでに21日配信の記事で「安倍首相自身は欠席を頑なに主張しているが、最終的には出席する。そのときになって、“大人の対応”とかなんとか、ごまかすつもりだろう」との見立てを書いていたが、まさにその通りの展開になった。
当然だろう。慰安婦問題を理由に五輪を欠席すれば、国際社会から「歴史修正主義」「五輪の政治利用」の誹りを免れない。官邸はなんとか欠席しようと、「国会に専念するため」やら「平昌は寒すぎる」など、トンデモな言い訳アドバルーンを次々にあげて様子見をしていたが、そんなものが通用するはずがない。
しかし、呆れるのはマスコミだ。この間、五輪に政治を持ち込む安倍首相を批判するどころか、テレビのワイドショーでは「安倍首相は行かなくていい!」の大合唱が響きわたり、コメンテーターらが韓国バッシング、平昌五輪バッシングに明け暮れていた。また、「首相、『平昌』開会式欠席へ 日韓合意、韓国新方針で判断」と11日付一面で報じるなど前のめりになっていた産経新聞をはじめ、保守系メディアは一斉に安倍首相の“欠席方針”を援護射撃しながら「韓国が悪い!」という世論を組み立ててきた。
ところが、安倍首相が出席の意向を固めると、こちらも一転。その産経と読売新聞が今日の朝刊で報道。とりわけ産経は1面トップだけでなく、2面に「ぎりぎりの決断」と題した関連記事、5面に“安倍首相独占インタビュー”と大スクープ扱い。インタビューは前日23日午後に官邸で収録したものだが、記事では「(日韓合意継続について)大統領に直接伝えるべきだと考えています」「(ソウル大使館前の慰安婦像の撤去は)当然強く主張することになる」などと、安倍首相の言い分を徹底して垂れ流させた。
とくに「(開会式出席に)反対する世論も強い」と水を向ける産経に対し、安倍首相が「強い批判があるのは事実です。そうした気持ちになることは十分に理解できます」と答えていることからもわかるように、インタビューの目的がもっぱら政権支持層である国内右派、あるいは「欠席派」に対する“ガス抜き”であることは自明。産経と安倍首相の息のぴったりさには、さしずめ「ペアで金メダルでも狙うのか?」と皮肉の一つでも言いたくなる。