百田、「本当の右なのか?」にぐうの音も出ずお茶を飲むの巻
あまりにアホすぎて同情の気持ちすら湧いてくる百田センセイだが、やはりハイライトはこの場面をおいてないだろう。番組中盤、安倍首相がぶち上げた2020年の新憲法施行についての討論になった際、百田センセイはなにを調子に乗ったのか、日米安保についてこんな持論を展開した。
「日本はね、安全保障に関しては本当にうまくタダ乗りしてきました。歴代の総理大臣がみんな憲法改正を言わなかったっていうのは、ずっと長いことジャーナリストであろうが文化人であろうが政治家であろうが、憲法改正なんて口にしたら社会的に葬りされられる時代があったんですよ。これはすごかった!」「30年、40年前は憲法改正をしなくても日本の安全は米軍によって守られてたんですよ!」
まさに「俺はリアリストやで?」と言わんばかりのドヤ顔で述べたわけだが、その百田センセイを怪訝な顔で見ていたのが、法学者の井上達夫・東京大学大学院教授だ。井上は「私は9条削除論」と前置いたうえで、百田をこう問い詰めた。
「百田さんに言っておきたいんだけど、僕は本当に右だったら尊敬するの。小林(よしのり)さんは右だけど、あなたは本当の右なのかな。さっきから不満なのはね、『日米安保は完全に日本がタダ乗りだった』って」
百田が「タダ乗りでしたよ!」と口を挟む。井上は呆れて続ける。
「よくそんなこと言えるね! 日米安保で片務条約って嘘なんですよ。アメリカは世界最大の海外における戦略拠点を日本でずっと維持して、ほとんどタダ。駐留経費75パーセント(も日本がだしてる)。これ、アメリカの方が得ているものが大きいわけです!」
井上は、日米安保条約が日本に多大な負担を強いているという事実を指摘し、それを無視してアメリカの軍事力だけを有り難がる百田の実に幼稚な安保論をバッサリと切り捨てたのだ。井上はさらに百田を追い詰める。
「しかも右だったらさ、かつて鬼畜米英って言った国の米軍基地がこれだけあるってことを恥じなさいよ、少しは! 『お前たちすでにこれだけ甘い汁吸ってんのにこれ以上要求するんだったら、俺たちだって日米地位協定も含めて見直さないといけないよ』って言うのが大人の交渉なんだよ。右がそれをするんだったら私は尊敬する!」
言っておくが、井上はネトウヨが敵視するようなガチガチの護憲派では決してなく、むしろロジカルに護憲派・改憲派双方の欺瞞を糾弾してきた法学者だ。その井上からみて、「愛国ナショナリズム」を標榜して軍隊創設を喧伝しながら、その実、米軍への隷属根性丸出しで、不平等条約である日米安保を盲従し続ける矛盾だらけの“エセ保守”の詭弁に我慢がならなかったのだろう。
しかし、百田センセイはストローでお茶をちゅるちゅるとすすりながら、「アメリカを抜いて当時ソ連に対峙するだけの安全保障に対して、アメリカ軍に払う金じゃすまなかった」などとピーピー言うだけ。もはや反論にすらなっていない。というか、お金云々を言うならなぜ百田は改憲をして軍事増強を訴えるのか。喋れば喋るほど矛盾がでてくる。誰がどう見ても百田センセイの完敗だったのだ。