ダンマリのTBSとフジ、弱腰のテレ朝、事件を矮小化した日テレ
まず、スポーツ紙は日刊スポーツが大きく報じたほか軒並み会見の内容を伝えたが、肝心の大手新聞社は昨日の朝刊で取り上げたのは、毎日新聞と産経新聞がベタ記事で数十行ふれただけで、読売はいわずもがな朝日新聞すらも無視した。
さらに、テレビのほうは、NHKは無論、民放キー局でも、山口氏の古巣であるTBSの『NEWS23』や『ひるおび!』、コメンテーターとして山口氏を重宝していたフジテレビの『とくダネ!』『直撃LIVEグッディ!』はスルー。フジと同様に山口氏を番組で起用していたテレビ朝日は、29日の『報道ステーション』は報道しなかったが、30日朝の『羽鳥慎一モーニングショー』と『ワイド!スクランブル』は伝え、番組でバラツキがあった。
唯一、山口氏を起用してこなかった日本テレビは、29日夕の『news every.』にはじまり、夜の『NEWS ZERO』、30日朝の『ZIP!』『スッキリ!!』でも紹介。読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』までが取り上げた。
だが、そうやって問題を取り上げた番組も、あきらかな“気遣い”が見て取れた。たとえば『モーニングショー』の場合は、山口氏のプロフィールをVTRで「元TBS記者でジャーナリスト。数々のテレビ番組に出演」とだけ紹介。同番組に出演していた山口氏は、“安倍首相の代弁者”として官邸情報を垂れ流していたが、しかしそのことにふれないばかりか、安倍首相を礼賛した代表作『総理』『暗闘』(幻冬舎)にもふれることはなかった。
逆に、日テレのほうは「元TBS政治記者で安倍首相を官房副長官時代から取材」「TBS退社後は“安倍総理をよく知るジャーナリスト”として活動」と紹介しながらも、『スッキリ!!』では元警視庁捜査一課理事官の大峯泰廣氏が「有名人などの社会的影響が大きい事件の場合は一度逮捕状の執行をストップさせ、警視庁捜査1課が犯罪の立証ができるのか一から捜査し判断することはある」などとコメント。『ミヤネ屋』にいたっては、沖縄ヘイトデマを流している嵩原安三郎弁護士が、不起訴になる理由として“被害者にも落ち度があったとき”などのケースを挙げ、「いろいろなパターンがあるが、証拠がないというのは共通している」と解説するなど、今回の山口氏の事件を「よくあること」であるかのようにフォローしたのだ。
しかし、これはけっして「よくあること」などではない。
「たしかに著名人など社会的影響力が大きいケースで、一課にうつるということはあり得るが、それも滅多にない。著名人でも所轄で逮捕されているケースはいっぱいあります。ましてや、今回のように逮捕状まで出て捜査がストップするということは異例中の異例」(大手紙社会部記者)
事実、今回も様々な報道で弁護士や警察OBなど多くの専門家が「逮捕状が出たのに、逮捕されない、捜査がつぶれるというのは異例、聞いたことがない」と、口をそろえている。
にもかかわらず、日本テレビはこの部分に一切ふれず、捜査つぶしを否定にかかったのだ。