トランプ大統領との非公開電話会談の中身は…
その一端が垣間見えたのが、5月1日の安倍首相とトランプ大統領の電話会談をめぐる対応だろう。この会談について、なぜか政府はその内容を一切明らかにしなかった。これは異例のことだ。実際、日本テレビの取材によれば、〈今回は多くの政府関係者が「ノーコメント」と口を閉ざし、“無かった”こととしている〉という。これには、国民との情報共有の観点から野党も批判している。
だが、この秘密の電話会談は、一部でもっともらしく言われているような“対北朝鮮攻撃作戦の軍事機密”のような話ではなく、むしろ反対で、「トランプが北朝鮮への対話路線に舵を切ったことを通告されたのではないか」(大手紙官邸担当記者)というのが永田町での見方らしい。
実際、5月に入って、トランプ大統領は明らかに態度を軟化させている。周知の通り、トランプは今月1日、米通信社ブルームバーグのインタビューで「これはニュースになるだろうね」とわざとらしく強調したうえで、「環境が適切なら金正恩委員長と会ってもいい」と発言し、対話のテーブルにつくよう北朝鮮の軟化を促した。
さらに共同通信によれば、3日にはティラーソン国務長官が国務省内の講演で、「(アメリカは)北緯38度線の北側に入る理由を探しているわけではない」と侵攻の意図がないことを明言。
また、日米電話首脳会談の翌日2日には、トランプはロシアのプーチン大統領と電話で会談し、北朝鮮情勢の緊張緩和と米国の抑制を求められ、両国が外交的な解決方法の模索で協力することを確認したと報じられている。しかも、このとき、トランプがロシアと中国が提唱している6カ国協議再開へ同意したとの話まである。
実は5月1日の安倍首相とトランプ大統領の電話会談でも、安倍首相は、トランプから6カ国協議の再開をロシアと合意することを事前通告されたのではないかといわれている。