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『標的の島 風かたか』三上智恵監督インタビュー(前編)

宮古島、石垣島が米中戦争の捨て石にされる!『標的の島 風かたか』監督が語る南西諸島自衛隊配備の本質

──三上監督の第一作目『標的の村』では高江にスポットを当て、まったく報道がなされていなかった高江の問題を全国へ伝えましたが、『標的の島』も「エアシーバトル構想」という、まったく報道されていない問題が取り上げられています。そもそも、石垣島や宮古島などで自衛隊やミサイル配備が進められているというニュース自体が、大きく報道されていない状態です。

 たとえば宮古島で予定されている800人規模の自衛隊基地には、地対艦ミサイル基地に弾薬庫と射爆場、着上陸訓練所、さらには司令部まで設置される計画です。地対艦ミサイルというのは近づいてくる軍艦を撃つためのミサイル。これは宮古島だけではなく、奄美大島、沖縄本島、石垣島にも配備すると発表されています。つまり、南西諸島を要塞化しようというわけです。

──しかも、この「南西諸島の要塞化」を、政府は「南西諸島を中国の脅威から守るため」「尖閣防衛」などと言いますが、映画ではその本質がアメリカの極東戦略にあり、沖縄を戦場にした新たな戦争のための準備だと指摘しています。はっきり言って、とても衝撃を受けました。

 もともとこの話は2012年くらいに(現参議院議員の)伊波洋一さんの講演を聞いて、私もはじめて知りました。「そんなことになってるの!?」とビックリしたんですけど、さまざまな資料や論文などを調べて読んでみると、とても具体的な計画でした。ただ、宮古島に自衛隊を置いてそこで戦争が行われると言っても、その前の段階できっと沖縄県民が反対するに決まっている、と思ったんですよ。沖縄戦の体験があるのに、まさか宮古島に陸上自衛隊やミサイルとか置くなんて話が浮上したら、辺野古移設どころじゃなく沖縄中が反対するだろう、と私は思っていたんです。
 それで(監督2作目の)『戦場ぬ止み』をつくっていたら、その編集中に宮古島に自衛隊基地をつくるという話を聞いて、今度は宮古島と石垣島にそれぞれ600~800人の部隊を置くというニュースが出て。これは大変なことになる、辺野古や高江の前にこっちが先に戦争の導火線になるぞと、今回の映画製作に入ったんです。

──映画のなかで「エアシーバトル構想」は、アメリカが日本列島を含む第一列島線を防波堤にすることで中国を封じ込めようとする戦略だと説明されています。中国を通さないために南西諸島の島々にミサイル部隊を配置し、いざというときはそこで戦争をする。米中の直接対決となると核戦争のリスクが高まるため、それを避けるために南西諸島で「海洋制限戦争」を行おう、と。まさに南西諸島が「標的の島」になるわけですね。

 しかも、中国のミサイルが宮古島や石垣島の自衛隊基地に飛んできたとしても、米軍は半日で撤退するということが日米政府間で2005・06年の米軍再編合意によって決められています。中国に攻撃されても、米軍が沖縄に残って日本のために米軍が戦うことはないんです。そんな肝心なときに米軍が戦ってくれないのなら、何のために日本にいるの?と思うかもしれませんが、それが現実なんですよね。ようするに、これは「自衛隊が米軍に代わって戦争をする」という話なんです。
 実際、すでに米軍が自衛隊を指導するかたちで離島の奪還作戦といった共同訓練が行われています。また、昨年11月30日に在日米海兵隊が、日米合同で指揮所演習の戦闘予行を行ったとTwitterに写真つきで投稿したのですが、その写真は、先島の大きな地図が広げられている上に米軍の指揮官が立って、戦争を想定して図上演習をしている。米軍にしてみればただの離島の地図なのでしょうが、そこは人びとが住んでいる島なんですよ。
 しかも、南西諸島で制限戦争が起こるとなれば、それは偶発的にはじまるでしょう。その上、中国は攻撃を行ってくる地対艦ミサイルがある島を狙う。島が戦場になるということです。偶発的に突然はじまる戦闘に対し、陸つづきでもない島の住民は果たして避難などできるのでしょうか。

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