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宮根誠司がアパホテル「南京虐殺否定本」を擁護し中国攻撃、松本人志も…マスコミが目をそらす問題の本質

 しかし改めて言っておくが、今回の騒動は、「中国がどう反応したか」ということが本質ではない。日本の巨大ホテルチェーンが、国際社会があきれかえるようなデタラメな歴史修正本を公共の場であるホテルに設置している、という行為にある。

 そもそも、騒動のきっかけとなった『理論 近現代史学II 本当の日本の歴史』なる書籍は、アパグループ代表の元谷外志雄氏が「藤誠志」名義で著したもの。その中身については既報の通りだが、なんと元谷氏は「南京事件はなかった」というだけでなく、張作霖爆殺事件から日中戦争開戦までをも「コミンテルン」の仕業」などと記述しているのである。もはや「トンデモ本」と呼ぶほかないシロモノなのだ。

 だいたい、南京事件については日本政府も「日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できない」と認めているが、それを中国側が宣伝する被害者数は「30万人」という数字をもち出し、それを攻撃することで「虐殺はなかった」「でっちあげだった」というイメージ操作をおこなっているにすぎない。そんな議論の俎上に載せるのも恥ずかしくて憚れるような内容の書籍を、ワンマン経営をいいことにホテルを私物化し、客室に設置するという“暴挙”をおこなってきたのだ。

 しかも、元谷氏はたんなる一企業の代表というだけではなく、安倍首相と極めて親密な関係にあり、安倍氏の秘密後援会「安晋会」の副会長を務めていたこともあるほど。前述した著書でも元谷氏は〈東京オリンピックの開会式で、安倍首相が「君が代」と共に開会宣言を行うのが理想だ〉〈中国、韓国にしっかり対応していくためにも、安倍政権が長期政権となるべく、私も最大限のサポートをしていくつもりだ〉と記している。

 中国の反応などよりも、あからさまな歴史修正のトンデモ本を大手ホテルチェーンが設置している事実、そしてその企業の代表と首相が懇意である事実のほうがよっぽど異常なのである。実際、今回の騒動を記事にした米・AP通信も、元谷氏について〈安倍の声高な支持者〉と言及していたが、これこそが正しい報道の仕方だろう。

 しかし、呆れることにこの国の報道では、安倍首相との関係に踏み込んだ大手メディアはいまのところ一社もなし。リベラル寄りの朝日新聞や毎日新聞でさえ、今回の問題を「中国で批判が相次ぐ」というかたちでしか報じず、あきらかな歴史修正の主張が企業の私物化によって公共の場で展開されている行為に論及しないのだ。

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